https://bdi.eu/#/artikel/news/gemeinsame-pressemitteilung-von-bertelsmann-stiftung-iw-merics-und-bdi
ドイツ産業連盟(BDI)、ベルテルスマン財団、ドイツ経済研究所(IW)、メルカトル中国研究所が共同で、ドイツ企業の中国への直接投資とその利益還元についての報告書を発表しました。
そのエッセンスをざっとまとめると以下の通りです。
- ドイツ企業の対中依存度は一般に思われているほど高いわけではない。
- 2017年から2021年の在中ドイツ企業からドイツへの利益還元は、年間70~110億EURの規模で、EUや米国と比べてかなり小さい。
- ドイツ企業の対中直投の大部分は、中国で得た利益を原資としている。ドイツから中国に新規資金を大規模に流しこんでいるわけではない。
- ドイツ経済全体としての対中依存はそれほど強いように見えないが、個々の企業(特に一部の大企業)では状況が異なる可能性がある。
- 対中依存についての企業の情報開示は現時点で非常に限定的であり、投資家は開示を強く求めている。
- そのような情報開示は、政策立案者が今後正しい判断をする上でも必要。
- 中国ビジネスを展開する多くの大企業が、2030年までにドイツからの輸出を中国での現地生産に置き換えようとしているのも心配。
- 中国での地産地消追求だけでなく、産業立地としてのドイツの競争力低下もその一因。
- 中国やアジアへの輸出に依存する国内雇用が失われる可能性があり、早く手を打つ必要がある
- 対中依存対策は、しっかりEU内やG7でコーディネートした上で(ドイツ企業だけが不利になったりしないよう慎重に)進めて欲しい。
<以下データはなかなか貴重です>
●在中ドイツ企業構造データ~上から企業数、従業員数、売上(百万EUR)
●企業数、従業員数、売上の世界全体に対するシェア~3本の棒は中国/米国/欧州
●ドイツの対中直接投資残高(10億EUR)~近年頭打ちになっている
業種別残高~車が30.1%で最大、商業、金融、化学、機械、電機と続く
●対中直投の直投全体に対するシェア~6.8%と決して大きいわけではない
(米国26.8%、欧州43.3%)
●業種別海外直投残高における中国のシェア~上から車、電機、機械、
(製造業平均)、化学
●中国との第一次所得収支(10億EUR)~7割が直投からの利益還元
第一次所得収支全体に占める中国のシェアは1割強(赤:利益還元)
●中国で上げた利益の行き先パターン