日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230523 ドイツ商工会議所(DIHK)中小企業景気調査結果

https://www.dihk.de/de/themen-und-positionen/wirtschaftspolitik/konjunktur-und-wachstum/konjunkturumfrage-fruehsommer-2023

 

年3回実施されているドイツ商工会議所(DIHK)の景気調査結果(対象:ドイツ国内中小企業21千社)が発表されましたので、使えそうなデータを一通りピックアップしておきます。

 

●総合的景況感:昨年のボトムから反発継続も、長期平均水準(水色)以下

 

●景況感DI(黄:製造業、黒:建設業、橙:小売・卸売業(商業)、青:サービス業)

現状は、サービスで上向き、建設、商業で下向き

期待は全業種で回復方向も、まだ水準は低い

投資意欲は全体的に回復中

採用意欲は全体的に横ばい(減らすのには慎重



●金融環境:自己資本減少(1番上)、流動性不足(2番目)やや増加も、特段大きな悪化なし(6割が問題なしと回答)。クレジットクランチの影響は感じられない



●今後1年のリスク:エネルギー価格問題は温暖化対策で永遠の課題化。人手不足や賃上げも共通の重荷。

製造業:①エネルギー価格、②専門職不足、③労働コスト、④国内需要、⑤経済政策

建設業:①エネルギー価格、②専門職不足、③労働コスト、④国内需要、⑤経済政策

商業:①エネルギー価格、②国内需要、③専門職不足、④労働コスト、⑤経済政策

サービス業:①専門職不足、②エネルギー価格、③労働コスト、④経済政策、⑤国内需要

 

●マクロ経済:今年ゼロ成長(建設が▲4.5%と不振)、インフレ+6%を予想

 

<本件関連日本語報道>

jp.reuters.com

 

★なお、本件と直接関係ありませんが、ドイツ連銀の週次ナウキャスト(WAI)はGDP換算3m/3mモメンタムで前期比+0.8%とかなり改善してきています。上記のような(不安な)気持ちはともかく、実際の景気は結構堅調で、DAX高値更新の一因になっているものと思われます。