日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20231110 ドイツ新経済対策に対するドイツメディアの報道ぶり

ショルツ政権が昨日打ち出した新経済対策(2028年まで総額280億ユーロ/来年最大120億ユーロ、産業用電力税のEU許容限度いっぱいまでの大幅引き下げがメイン)についてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。

  • 他にも補助金や負担金などが複雑に絡むので、厳密な国際比較は難しいが、ドイツの産業用電力料金は、米国、中国、カナダの3倍近く、日本より3割高く、ほぼEU平均並みとなっている(上図)。
  • ドイツの国際競争力回復のため、企業からの電力料金引き下げ要求は以前から根強かったが、今般の景気低迷長期化で(数か月にわたる議論迷走の後)政府も動かざるを得なくなった
  • 特定業種だけで手続きにも手間のかかる補助金ではなく、中小企業を含む多くの企業が救われる減税を選択したことは賢明。
  • 企業の不透明感を減らし、投資計画が少しでも立てやすすくなるよう、期間を5年と長めにしたことも理解できる。
  • 但し、一度決めたこの減税を元に戻すのはかなり難しそうだ。
  • BASFやシーメンスなど、大量のエネルギーを消費している企業の株価は、コスト負担減少を素直に好感して上昇。
  • 但し、本減税による電力価格低下はそれほど大きいわけではなく(せいぜい1割程度)、気候変動対応のイノベーション導入が遅れれば、かえって産業空洞化を招く恐れもある。
  • 脱原発や石炭火力発電の廃止で電力供給が減少する一方、電力需要はどんどん高まっている。電力供給の拡大が急務
  • ガスより税負担が重い電力の税引き下げによる電化促進は、気候政策の観点からは合理的。
  • 但し、環境保護団体は「エネルギー消費やCO2排出量を削減するインセンティブを損なう」「再エネへのシフト自体を支援すべき」と強く批判。
  • 消費者団体は「消費者が完全に忘れ去られている」と不満。

 

<日本語報道例>

jp.reuters.com

 

<関連ご参考>

note.com

www.youtube.com

 

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