プレスリリースのタイトルは「産業立地と競争力を改善するための政策こそが、気候変動対策政策を支える」という、いかにもドイツ自動車産業界らしい主張(気候変動対策の負担を何でもかんでもトップダウンで自動車業界に押し付けるな)となっています。
VDA-Präsidentin Hildegard Müller: „Standort- und Wettbewerbspolitik unterstützt Klimapolitik“ | VDA
以下、私が有益と感じたデータや主張をメモしておきます。
●今年のグローバル新車販売台数は昨年比+4.0%/74百万台とやや戻すも、コロナ前の水準(2019年の80.6百万台)は大きく下回る見込み。
●地域別には中国昨年比+3%、米国+4%、欧州+5%。
●但し、ドイツの新車販売台数は、昨年比+2%/2.7百万台と戻りは鈍く、コロナ前の水準(2019年の3.61百万台)を大きく下回ったままとなる見込み。
●まだサプライチェーン障害が残るものの、今年は国内生産3.7百万台、海外生産10.3百万台と共に+6%の伸びが見込める。但しコロナ前の水準には未達。
●以下は、内外政策当局者に対する要求です。
エネルギー政策:
- カーボンニュートラルなエネルギーの安全で長期的かつ十分な供給確保が必要であり、そのためにはすべてのオプション活用すべき。
- エネルギーは、産業界や消費者にとってぜいたく品であってはならない。税金と課徴金の削減を求める。
インフラ:
- しっかりとした包括的プログラムを策定して、アナログデジタル両面から一層のインフラ整備を求める。
原材料確保:
- EUはできるだけ多くのグローバルパートナーシップにより、原材料調達安全性を確保すべき。
- ヨーロッパ自体の原材料鉱床をもっと開発し、利用するべき。
スピード:
- あらゆる改革プロセスにおいて、官僚主義を打破し、スピードと柔軟性を引き上げてほしい。特にドイツは、もっとデジタル化、シンプル化、高速化を進めるべき。
産業政策:
- ドイツ、EUとも、ヨーロッパの競争力をできるだけ確保するための産業政策を実行するべき(気候変動政策はその結果として成果を上げる)。
再グローバル化:
- (地政学リスクを理由とした)非グローバル化ではなく、再グローバル化を追求すべき。
- 過度の依存関係を減らすために、可能な限り多様化された、原材料や貿易協定、エネルギーパートナーシップなどを広範に推し進めるべき。
- 指針としては、自律的で、可能な限りオープンで、グローバルで、市場志向でなければならない(一方的な制限であってはならない)。
気候変動対策へのグローバルベースでの貢献:
- 世界中に将来の技術を輸出することこそ、ドイツが地球規模の気候変動対策にできる最大の貢献。だからこそ、政治や社会から産業界へのコミットメントが必要。