本日のハンデルスブラット(ドイツの日経新聞に相当)1面トップ記事は、「万能の武器 KfW」という興味深いものでした。
これまでもKfWは、コロナ対応、東独支援、欧州金融危機対応などの際、政府の大規模財政出動にかなり柔軟に活用されてきました。
年内にも成立する可能性があるショルツ信号機政権下では、気候変動対応、インフラ整備、デジタル対応などで巨額投資が必要となる可能性が高い一方、「債務ブレーキ遵守」「増税なし」で3党が合意しているためその財源についてはまったく目処が立っていません。最低でも年500億ユーロの投資が必要と言っているにもかかわらず、炭素税賦課や、効果の薄い補助金や行政の無駄カットによる財源ねん出規模は未知数ですし、大麻解禁による歳入増はせいぜい年27億ユーロ程度です。
そこでKfWが民間資金の呼び込み役となったり「特殊ファンド」などの形で大活躍することになりそうだ、というのが記事の主旨です。
但し、KfWはあくまで(公的)銀行ですので、貸出や保証が将来焦げ付いた場合には、想定外の国民負担が発生するリスクがあります。また、そもそも公営銀行がドイツの全産業を差配するような状況を自由競争確保の観点からEU委員会が黙認するかどうかも怪しいところです。
ちなみにKfWについては、日本語WIKIでも解説されています。