市場関係者にとって、恐らく世界で最も重要な雑誌ではないかと思われる 英Economist誌 が毎年12月に The World Ahead シリーズを発行していますが、ドイツの2022年版(ドイツではシュピーゲルのライバル誌であるフォークスとの協働)が出たのでざっとチェックしました。
The World Ahead 2022 | The Economist
コロナ対応に明け暮れてきた去年までと異なり、今年はコロナ後の新たな世界の現実に直面する年。注目すべき10領域は以下:
- 民主主義と専制主義(米中対立)
- 途上国でのコロナ終息(先進国だけで終わらせてもダメ)
- インフレ懸念(BREXIT後の英にはスタグフレーションリスク)
- 新しい働き方
- 巨大ハイテク企業に対する適切な規制
- 仮想通貨
- 気候変動対応
- 新しい出張/観光の姿
- 宇宙開発
- 国際政治の綱引き(まずは北京オリンピック)
ドイツ関連(フォークスが担当)で特に重要と思われるのは以下3領域(私見に基づくチョイスです):
- エネルギー政策: 再エネ出力は現在の倍以上に増やさなければならず、電源の安定化、蓄電技術、水素なども必要。途中は天然ガスでつなぐしかない。カーボンニュートラルは決まったが、それを実現するための枠組みが全く決まっていないままでは産業界は動けない。
- 外交: ロシア(ウクライナ、ベラルーシ)、中国(人権、台湾)、ポーランド、アフガニスタンなど目先問題山積の中で、ベアボック新外相が持ち前の価値観外交をどのように実現してゆくのか。
- インフレ: ドイツの労組はインフレによる購買力目減りを補うような賃上げを強く要求している。これが実現すれば、賃金・物価スパイラルが回りだし、インフレ高止まりが長期化する。ECBにとってこのあたりの舵取りが非常に難しい1年になる。
なお、来年2/13にドイツ大統領の改選が控えていますが、国民の3/4が支持するシュタインマイヤー現大統領の続投となる可能性が高いという書きぶりになっています。