日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20220117 まあまあ出足好調のショルツ首相に対する二つの批判

9月26日のドイツ連邦議会選挙から3ヶ月半、ショルツ首相率いる信号機連立政権成立から1か月が経過しましたが、ショルツ首相のSPDは26-27%と高い支持を維持しています。

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Wahlumfragen zur Bundestagswahl – Sonntagsfrage (Wahlumfrage, Umfragen) (wahlrecht.de)

 

ショルツ首相は政治家個人としても人気高く(メルケルに続く2位)、ショルツ新政権はおおむね順調なスタートを切ったと言えると思います。

20220114 人気政治家ぞろいの独ショルツ政権 - 日独経済日記 (hatenablog.com)

 

但し、以下2点についてはドイツ国内での批判、不満が結構高まってきており、今後のSPD支持率低下につながるリスクが高まっているように思われます。また、ライバルであるCDU/CSUの最近の党勢盛り返しにも一役買っているように感じます。

  1. ワクチン接種義務化における態度のあいまいさ
    昨年11月にショルツ首相は、「今年3月にもワクチン接種義務化を実現する」と明言していたのにもかかわらず、その後、FDP内の反対派をまとめ切れなくなり、政治的地雷を踏むことも恐れてか態度を急速にあいまいにし始めた。本来はオミクロン抑止のため、やるなら今すぐにでも決断すべきワクチン接種義務化が、タイムリーな議論すらなかなか始まらない状況に陥っている。本来であれば連立与党として自ら具体的提案をして過半数で議決すべきところ、「我々は議論の方向性を提示している」「議会での幅広い合意を形成したい」と自ら主導する早期決着から逃げているように見えている。

  2. 対ロシア政策における存在感の薄さ
    メルケル前首相はロシア語堪能で、プーチン露大統領の信認も厚かったため、対ロシアでの重要イシューについてはメルケルプーチンとの直接交渉に乗り出していたのに対し、ウクライナ/ベラルーシ問題でショルツ首相が対露直接交渉に乗り出すことはなく、完全に米国任せになってしまっている(プーチンがドイツやEUではなく米国しかもはや交渉相手にしなくなっている)。