昨日発表された国際通貨基金(IMF)世界経済見通し(WEO)アップデートのドイツ関連部分をざっとチェックしました。
ドイツ担当者として読み取るべきメッセージは以下の通りかと思います。
- ドイツのGDP予想は今年+3.8%/来年+2.5%。これはユーロ圏全体とほぼ同じレベル感。(個別国のインフレ予測もあるはずながら、公表はされていない模様)
- この+3.8/+2.5は内外主要機関の最近の予測値とほぼ整合的 <二つ目の表>。
- 昨年10月のIMF前回予測と比べると、ドイツの今年分は0.8%下方修正ながら、来年は0.9%上方修正となっており「成長先送り」というのがドイツとしては正しい解釈(多くの報道では2022年の下方修正~オミクロン、サプライ障害、インフレ/利上げ~だけがことさら強調されており、要注意)。
- ドイツの最も重要な交易相手である中国は当面5%程度の低成長に留まる(これはやや新味のある逆風~イアンブレマーのユーラシアグループが、ゼロコロナで失敗する中国のリスクを今年のトップリスクに掲げています)。
なお、今回のWEO報告書の中に特段解説なく、市場ベースのインフレ期待(青:米国、赤:ユーロ圏それぞれのブレークイーブンイールド/実線:5年、点線:5年先5年)のチャートが掲載されています。ブルンバーグ端末でも持っていない限り、WEBではこのデータが見られない/GETもできないので、この種のチャートはある意味貴重品です。
米国5年(青実践)ほど高水準ではありませんが、ユーロ圏の赤線2本を見るとずっと2%近傍で高止まりしています。これらが2%を明確に上回って定着してくると、さすがECBも何もしないでいるわけにはいかなくなると思います。