ドイツ経済を語る上で、現時点で最も頼りにすべき分析結果が先ほどドイツ連銀から発表されました。
一言で総括すると、以下のような感じです:
エネルギー危機という割にマイナス成長度合いは大したことない(但しリスクは下振れ)だが、インフレは長期高止まり(これだけ予想を引き上げた後でもリスクは上振れ)。
2022年 2023年 2024年
実質GDP +1.8% ▲0.5% +1.7% 正常化は2025年
デフレータ +5.1% +4.6% +3.7% 名目成長高水準
インフレ +8.6% +7.2% +4.1% 長期高止まり(+上振れリスク)
コア +3.9% +4.3% +2.9% 来年も加速継続
失業率 5.3% 5.6% 5.3% ほとんど上がらない
一人当たり賃金 +4.3% +5.1% +5.0% 高水準
前回(6月)の予測と比べると、GDPは来年▲2.9%、再来年▲0.1%の下方修正、インフレは来年+2.7%、再来年+1.5%の上方修正となっています。
★インフレ上振れの主因は、2023年のエネルギー負担軽減策(価格上限設定)の反動が2024年に出てくるためです。コアの高止まりは高めの賃金上昇によるものです。
ECBスタッフプロジェクションで2024年のインフレ予測が切り上がった主因はこのドイツの特殊要因だと思います。
<ECBの解説>
「エネルギー価格の高騰とインフレを補うための財政措置も、予測期間におけるインフレ見通しにとって重要な役割を果たします。それらは、2022年に総合HICPインフレを1.1%ポイント抑制したと推定されており、2023年には再びインフレを0.5%ポイント抑制するはずです。しかし、その後、これらの措置の撤回は、2024年に0.7%ポイント、2025年に0.4%ポイントに達すると、インフレに大きな上昇圧力をかけると予想されます。」
<日本語報道例>