日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20220405 ウクライナ危機の独仏米英内政への影響

ウクライナ危機でどの国もそれまでの内政的課題の優先順位が落ち、各国リーダーたちの立場にもいろいろな影響が出ています。以下ドイツメディアでの論調を簡単にご紹介します。

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  1. ドイツ
    当初は制裁や武器供与でえらく腰が引けていたため、内外からかなり批判されたショルツ新政権でがあるが、ウクライナ危機勃発以降、支持率はじり高で決して悪くない。特に新外相ベアボック氏(Green共同党首)が全ての戦争に反対する女性の代表のような活躍ぶりで株を上げている。
  2. フランス
    マクロン大統領は、メルケル後のEUの大黒柱としてのリーダーシップ発揮が評価され、大統領選(1回目投票4/10、決選投票4/24)での勝利確率が上昇(ざっくり7割から8割超に上昇したイメージ)。但し、国民の不満はインフレ(購買力喪失)にあり、もともとロシアと親密であったことも批判されやすい。
  3. 米国
    西側諸国は(トランプとの対比もあり)バイデン大統領のリーダーシップを概ね高く評価しているが、米国内では戦時の米国でよくある「旗下集合効果(rally around the flag effect)」(苦境下の愛国心で一致団結する効果)が出ておらず、いまだに支持率回復が観測されていない。このままでは11月の中間選挙で上下院とも共和党の手に落ちそう(トランプ復活につながる可能性も)。
  4. 英国
    ジョンソン首相にとって、ウクライナ危機の直前まで大問題になり、年内辞任必至とされていた「パーティーゲート(コロナ期間中に自分達だけパーティーに興じていた)」が足元はほぼ忘れられており、ウクライナ危機が政治延命の助け舟となった格好。ただし警察の調査結果発表や、5月地方選での保守党大敗などをきっかけに「パーティーゲート」が再び思い出されて引責辞任を迫られる可能性が残っている。