W杯決勝リーグで日本を倒して勝ち上がり、結局3位に輝いたサッカー大国:クロアチアが、昨日から
① 法定通貨をユーロとする「ユーロ圏」(20カ国目)と
② 欧州域内での移動自由が認められる「シェンゲン協定」に加盟しています。
貿易と観光の両面から同国経済に大きくプラスになることは間違いなさそうですが、「インフレ」が落とし穴になる可能性があります。
ドイツの通貨がドイツマルクからユーロに切り替わった時、便乗値上げが横行しました。マルクとユーロの交換比率は1ユーロ2マルクくらいだったのですが、端数を切り上げて上に丸めるくらいはかわいいもので、中には2マルクだったものをそのまま2ユーロ(2倍)にするといった暴挙も散見されました。古き良きドイツマルクを捨てたらいきなりインフレになったということで、ユーロを「Teuro(トイロ)」(teuer:高い+Euroの掛けことば)と呼ぶことが大流行し、このトイロが2002年の流行語大賞になったくらいです。
クロアチアでは(他の欧州諸国も同様ですが)折しも物価が急上昇していますので(下図)、この様な状況下での通貨切り替えは、便乗値上げの絶好のチャンスになります。
実際にクロアチア国民の約8割が、ユーロ導入によるインフレ加速を心配しているようです。
ユーロ圏HICP(消費者物価指数)におけるクロアチアのウェートは約0.1%しかないので、ECBの金融政策に対する影響はほとんどないとは思いますが、インフレ抑制にとっていい材料でないことは間違いないと思います。
Statistics | Eurostat (europa.eu)
<クロアチアの各種経済指標>
Croatia Indicators (tradingeconomics.com)
<日本語報道例>
クロアチア、ユーロ導入 20カ国目、観光業に弾み:時事ドットコム (jiji.com)