上の表は、内外主要機関のドイツGDP/インフレ予測一覧表です。今回のIMFは今年▲0.1%のマイナス成長を予想している点が特徴的です。他にマイナスを予想しているのはハンデルスブラット研(HRI)のみで、他の機関は概ね+0.2~+0.3%の予想となっています。
以下ドイツ関連のデータ(緑)を日本(紫)と対比したグラフです。
(こちら↓の IMF Data Mapper 大変便利です。)
https://www.imf.org/external/datamapper/datasets/WEO
①実質GDP成長率~今年はドイツがマイナスなので日本が上
②名目GDP規模(米ドル建)~日本は猛追されているがまだ当面抜かれない
③一人当たり名目GDP(米ドル建)~ドイツは日本の16%上
④インフレ~ドイツで2%近くに落ち着いたと言えるのは、2025以降
⑤経常収支(GDP比)~両国とも(特にドイツは)高水準の黒字維持
<ドイツメディアでの報道ぶり>
- 世界経済は危険な局面にある。経済成長率は低いままで、インフレ(今回上方修正)との闘いはますます厳しいものになっている。
- 今後5年間は「歴史的に弱い」成長率(約3%)が続き、世界中の貧しい人々が希望を持てなくなる。
- 幸い、制御不能な賃金/インフレスパイラルの兆候は見られない。
- 金融不安が需要を抑制し、インフレ克服に役立つ可能性もある。
- ウクライナ戦争開始後に多くの人が予言した世界的リセッションは起こっていない。世界経済には予想以上の適応力がある。
- 今後注意すべきリスクは、ウクライナ戦争激化、インフレ高進/金利上昇、金融システム懸念など。
- エネルギー価格の大幅下落、サプライチェーン障害緩和、堅調な労働市場などには期待が持てる。
- 物価安定なくして、持続的な成長はない。危機対応で出動した財政は今後は縮小し、債務を減らすべき局面。大規模な追加景気刺激策など愚の骨頂。生産性を引き上げ、供給制約を解決するような構造改革こそ必要。
- 経済が弱い時に安易な保護主義に走らないことが本来は重要なのだが、脱グローバル化/新たなブロック化により、世界全体がより貧しくなる方向に進んでいる。一刻も早い再考が必要。
<本件関連投稿>
<ドイツ連銀 週次経済活動指数WAI>~足元景気モメンタム弱い
https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-aktivitaetsindex