つい先ほどドイツ連邦雇用庁から5月分のドイツ雇用統計が発表されました(米国の雇用統計と違って、賃金データは含まれていないので、インフレに対する直接的影響は読み取れないという点についてはご了承ください)。
●市場が最も注目する季節調整後失業者数前月比増減は+9千人と市場予想(+15千人)より気持ち強めの内容でした。
●連邦統計局は「冬場にリセッションに陥った割に雇用は強い」と総括しています。
●昨年6月以来、失業率が0.6%上昇していますが、これはウクライナ難民を失業者カウントの対象としたことによるもので、ドイツの景気悪化の影響はほとんどありません。
●5月時点でウクライナ難民の労働力人口は50万人、うち19万人が失業者となっています。上記上昇分のほとんどがこれで説明できます。
●就業者数(1か月遅れなので4月分まで)は、毎月コンスタントに上昇し、過去最高記録を更新し続けています(4.58百万人)。雇用の底堅さ自体は維持されています。
唯一、求人数にやや軟調な兆しが出てきています。
●雇用の先行指標である求人数(残高:上線)は、比較的高水準ながらもじりじりと減少が続いています。求人の新規流入(下線)も弱含みで推移していますので、やや警戒して見ています。
●オンライン求人数も最近やや軟化気味となっています(上述求人数残高と整合的)。
●企業アンケートベースの雇用先行指標であるifo雇用バロメータもやや軟化しています。これまで堅調だったサービス業の中でもさすがに不動産関連サービスでは人員削減が検討され始めている模様です。
●操短(勤務時間と給与を減らして雇用を維持するしくみ~給与は公的支援で一部補充される)については、コロナによる急増分をほぼ完全に解消しています。
景気悪化で労働投入が不要になってくると、こちらが真っ先に急増する(失業増加の先行指標となる)ので引き続き注視しています。
<データソース>