日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230620 ドイツ製造業受注残、月商の7.3か月分

https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/06/PD23_237_421.html

 

本日ドイツ連邦統計局から4月製造業受注残高(上図赤線:総合、黒線:国内、青線:海外)の発表があり、実質ベースで前月比▲0.8%、前年同月比▲2.3%、売上の7.3か月分、となっていました。 

4月の落ち込みは、主に自動車業界(前月比▲1.5%)によるもので、世界経済の低迷が輸出依存型産業の逆風になっていると解説されています。

受注残の水準自体はまだまだかなり高く、生産活動を下押しするほどには下がっていませんが、貯金がどんどん食いつぶされていく状況が続いています。

 

この貯金はコロナ後に急速に蓄積されたものです。コロナ後の急回復局面で、受注(下図青線)が急上昇している時に、サプライチェーン障害や人手・材料不足のため生産(赤線)が十分に増やしきれず、受注残(黒線)がどんどん積み上がるというバランスになりました。そのような状態がつい最近まで続いていたのですが、最近の受注急減の結果、いよいよこの貯金が減り始めているというわけです。

 

なお、最近のドイツ製造業PMIは50割れの下落が続いており、特に受注が不振となっています。ドイツ製造業はまだ立ち直りのきっかけをつかめていないと見るべきかと思います。

https://www.pmi.spglobal.com/Public/Home/PressRelease/efd9b40450de4bd899f31bd055f7b001

 

但し、ドイツの製造業は付加価値(GDP)ベースで23%(1つめのグラフ)、雇用ベースで18%(2つめのグラフ)のシェアしかありません(2022年)。製造業の統計だけを見て過度に悲観するべきではないと思います。