ロシアに機密情報を流した疑いで軍事調達機関の職員の男が逮捕された件についてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。
- 逮捕されたトーマス・H容疑者は、軍関連職員で、職務上知り得た情報をロシアの情報機関に提供した疑いがもたれている。
- 容疑者はコブレンツにあるドイツ連邦軍装備・情報技術・利用局の職員で、同機関は物資や武器、防衛技術の開発、試験、調達などを担当。
- 容疑者は今年5月以降、ベルリンのロシア大使館やボンの領事館に自ら接触し、情報提供を申し出ていた模様。
- 男の役職やロシア側に提供されていた情報などの詳細については明らかにされていない。
- 動機についても現時点では不明だが、過去の例からすると、金銭目的以外に、職場や人生に対する不満、親ロシアスタンス、ロシアサイドからの承認欲求などが考えられる。
- 刑法上の反逆罪となれば少なくとも5年の懲役刑、場合によっては終身刑もありうる。
- 昨年末には連邦情報局の高官が職務上得た情報をロシアに流した反逆容疑で逮捕されている(この種のスパイ事件はこれまでいくつも発覚している)。
- ロシアによるウクライナ侵略戦争開始以降、スパイ活動、偽情報キャンペーン、サイバー攻撃の脅威は別次元に高まっている。他のヨーロッパ諸国もロシア工作員の国外追放などに踏み切っている。
- ドイツ治安当局は最近、ロシア軍によるスパイ活動に対する取り組みを強化している。フェイザー内務相やブッシュマン法相は、容疑者の逮捕に関わった全員に感謝の意を表明(最近の取り締まり強化の成果としての位置づけ)。
- そもそもドイツは外国諜報機関からターゲットにされやすい。ロシアだけでなく中国にも厳重警戒が必要。
- ロシアに機密を漏らすことに何の躊躇も感じない密告者が当局内に実際に存在することは大変な脅威。特にドイツ連邦軍においてスパイ行為の危険性が急激に高まっていることが明らかになった。
<日本語報道例>