反EU/ドイツのPiS政権が崩壊する可能性が濃厚となったポーランド総選挙結果についてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。
- カチンスキ氏が率いるPiS(法と正義)が35.4%を獲得して第1党となったが、議会での過半数を維持できなかった。
- ドナルド・トゥスク氏(元ポーランド首相、元EU理事会議長)を中心とする市民連合が30.7%を獲得。中道連合:第三の道14.4%、新左翼8.6%を巻き込んで連立形成に動き、政権交代となる可能性が高まった。
- タスク氏:「2位でこんなにうれしかったことはない。民主主義の復活だ。」
- 74.38%という非常に高い投票率(前回2019年は61.74%)は、いかに今回の選挙が重要であったかをポーランド人が正しく理解していたことを示している。
- 8年間にわたるPiSの支配を経て、ポーランドは疲弊・二極化・孤立している。今回の選挙は、おそらくポーランドを民主陣営に戻す最後のチャンスだった。
- メディア、裁判所、行政がPiSのイデオロギー的世界観に屈した後、民主主義の担い手としては有権者だけが残っていた。
- ポーランドはEU/NATO/ウクライナにとって地政学上の最前線国家として重要。
- PiSが歪めた司法、メディア、中絶問題などを修復するのは容易でない。
- 想定される連立政権内では、原子力や中絶などの問題での隔たりが大きく、改革実現や合意形成は容易でない。
- 議会ではPiSや右翼過激派からの強い反対も予想される。
- 新政権はドゥダ大統領ともうまく折り合いをつけていく必要がある。
- ポーランド大統領は、外交政策に責任を負い、軍の最高指揮権を持っているだけでなく、拒否権を持っている。PiS出身のドゥダ大統領は、2025年半ばの次回大統領選までの1年半、その気になれば政府を邪魔することができる。
- PiSは選挙キャンペーンで反ドイツ、反EUのレトリックを多用し、ブリュッセルの移民政策をこきおろし、野党党首トゥスクをドイツの手先と誹謗してきた。
- PiSが選挙結果を強引に修正するために、何らかのトリックを繰り出してくる可能性もある。
- EUとドイツはトゥスクを氏をパートナーとして大歓迎する。PiS政権下で8年間悪化し続けてきたポーランドとEU/ドイツとの関係は劇的に改善するはず。
- EU/ドイツとしては、EUの中でポーランドにふさわしい新たな地位を確立するための努力が必要だ。
- 移民政策においては過大な期待は禁物。トゥスク氏は難民の強制的な再分配には反対の立場を貫いている。
- トゥスク氏が首相になっても政権運営は非常に大変そうだ。
- しかしいずれにせよ、何かと暗い最近の世の中で珍しいGood Newsとなった。
<日本語報道例>
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