昨日のオランダ総選挙で、ヘルト・ウィルダース氏(上写真)が率いる右翼ポピュリスト政党PVV(反移民、反EU、反イスラム、気候変動対応に懐疑的)が勝利したことに対するドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。
- 大量の不法移民が、イタリアやスウェーデンを筆頭にヨーロッパ全土で極右政党を後押ししており、今回オランダも政治的地滑りを経験することになった。
- ウィルダース氏は「オランダ人ファースト」で「ミニ・トランプ」とも呼ばれている。
- 問題を放置/他人任せにしてきたルッテ路線(中道右派)は今回完全に否定され、オランダ国内の政治的分裂が決定的なものとなった。
- 数の上では、今回第1党となり150議席中37議席を獲得した極右PVV、24議席のVVD(右派リベラル)と20議席のNSC(右派新党)で連立政権樹立は可能(計81議席/過半数76議席)。
- オランダ国民が移民に歯止めをかける右翼政権を支持したことは明白で、3党はオランダへの移民制限という点では容易に一致できる。
- 但し、10年以上前からウィルダース氏を拒絶し続けてきたVVDが政権樹立に協力するハードルは低くない。どのような政権が樹立されるにせよ、相当な時間がかかりそう。
- ドイツのAfD、フランスのルペン、ハンガリーのオルバンは小躍りしながら大喜びしている。欧州ポピュリズムに対する追い風としてはこの上ない結果。
- ドイツでも極右AfDが勢力を拡大しており、来年6月のEU議会選では極右ポピュリズムの躍進が懸念される。
- ウィルダース氏がもし首相になれば、Nexitの国民投票が実施されよう。今のところオランダ国民の過半数がEU脱退を支持する気配はないが、首脳レベルでEUの意思決定が相当妨害されることは避けられない。
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ウィルダース氏は今回の選挙戦の中では「反イスラムは優先事項ではない」と控えめだったが、イスラム教をファシスト・イデオロギーとして敵視している。
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これまでモスクの禁止やスカーフをかぶるイスラム教徒への「頭巾着税」導入を呼びかけてきた。
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同氏はかれこれ20年以上にわたってイスラム過激派の標的にされ、殺害の脅迫を受けてきた。今後警護も大変になりそう。
<議席配分>
<日本語報道例>
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