https://www.bundesbank.de/de/aufgaben/themen/finanzstabilitaetsbericht-918354
ドイツ連銀から今年分の金融安定報告書が発表され、有益なデータも見せてくれていましたので、そのエッセンスをまとめておきます。
- 今局面の特徴は、金利急上昇と不透明性の増大。
- ドイツの金融システムはこれまでのところ金利上昇にうまく対処し、財務体質改善にしっかり結びつけている。
- 今のうちに、自己資本と流動性を充実させ、特にサイバーリスクなどへの対応力をしっかり高めていって欲しい。
- 急速な金利上昇の影響が出てくるのはむしろこれからであり、リスクを過小評価すべきでない。
- 融資は伸び悩み、利ザヤは縮小し、信用コストは今後増加してくる。
- (特に商業用)不動産の担保価値下落には注意が必要。
- 気候変動や地政学関連の社会全体のトランスフォーメーションは、強い金融機関がしっかり支えてゆかなければならない。
- 昨年以降マクロプルーデンス政策で積み上げた240億ユーロの資本バッファーは、まだ使う時ではない。
●政策金利(緑)が急上昇し、インフレ(青)をようやく追い抜いたところ。2019年あたりからGDP比で急速に伸びていた銀行貸出(橙)は急速に減速している。
●大手銀行(橙)も中小銀行(青)も、本金利上昇局面でうまく収益状況改善(縦軸:総資産比利益%)。
●金利急上昇を受けて、住宅用(左)、商業用(右)とも、不動産価格は下落。
●自己資本比率(リスクアセット対比)は十分手厚い水準(大銀行:橙、中小銀行:青)。
●流動性比率も100%を大きく上回る水準を堅持(大手行:橙、中小銀行:青、その他特殊金融機関など:緑)。
●ドイツ生保のソルベンシー比率も十分高水準維持。
●金融ストレス指標(黒線)~今年3月に米銀不安で一瞬ハネ上がったが、その後低位安定推移。ドイツの銀行は、資本・流動性が厚い上、金利上昇で大きな損失が出るようなバランスシートになっていないため(但し、多くの銀行が含み損を抱えているのは事実)。
●融資環境指標(黒線)~タイトな水準ながらも、じりじり緩和が進んでいる。
●市場が織り込むユーロ圏HICPの軌道(直近赤線)~まあ落ち着いてはいるものの、なかなか2%以下には下がらない。
●流動性預金金利(上)はほとんど上がっていないが、定期預金金利(下)は3%近くまで上昇しており、流動性⇒定期性のシフトも進んでいる、
★左上や以下のバナーをクリックしてランクアップにご協力頂けると大変有難いです!
どうぞよろしくお願いします!