2022年の国際学力比較PISAでドイツがこれまでで最悪の結果に終わったことについてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。
- ドイツ国内のあらゆる種類の学校約260校で、約6,100人の生徒がテストを受けた。全世界では約69万人が参加した。
- 今回の成績は多くのOECD諸国で低下したが、ドイツの悪化は平均以上だった。
- ドイツの若者の学業成績は長年にわたって低下傾向にあり、改善の兆しも見えていない。
- ドイツの遠隔教育におけるデジタルメディアの利用はOECD平均に見劣りしている。コロナによる長期間の学校閉鎖が原因である可能性は非常に高い。
- コロナ対策の休校が本当は必要なかったことが事後的に判明しているが、この学力低下で白黒がはっきりした。但し、当時コロナは未知の病気だったため、休校措置自体を今から責めることは公平でない。
- 今回のPISA調査結果は、他の国々がコロナの困難な状況をデジタル製品活用で巧みに管理したことを示している。もっと見習わなければならない。
- 移民の背景を持ち、ドイツ語が不自由な子供が増えていることも原因の一つ。クラスに占める移民の背景を持つ子どもたちの割合は26%と10年前から倍増しており、これは多くの学校にとって多すぎる。
- 移民の子供の割合がまだ1割の頃に、ドイツは既に読み書きが正しくできない2割の子供を生んでいた。更なる状況悪化は必然の結果だった。
- 加えて長年続いている教師不足(よく4~5万人と言われている)が問題を更に深刻にしている。
- 両親の社会経済的地位や学歴が低いと子供の成績が悪くなる傾向はよく知られている。
- 我が国の政治において、年金や産業用補助金などの政治的に高く売れる政策より教育に必要な投資が常に後回しにされていることが問題。
- 教育政策において、連邦政府、州政府、地方自治体のより緊密な協力を進めるための契機としなければならない(教育をこのまま地方任せにしておいてはいけないという意見もある)。
- 教育政策の失敗は、ドイツの産業立地にとって致命的であり、これ以上放置する余裕はドイツにない。
<PISA初回(2000年)でもドイツの成績が余りにもひどかったので「PISAショック」として大問題になりました。>
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