日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20231210 雑誌の表紙で振り返る今年(2023年)のドイツ

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私は日本にいた頃から、ドイツの世相をざっくり掴むために、上記のiKioskの新聞や雑誌の表紙を毎日ざっとチェックするようにしています(特にドイツ語学習者にはオススメの方法です)。

今週になって以下のような「今年を振り返る特集」的なものがいくつか出始めているので(これらを買う代わりに)、ドイツの有力雑誌の表紙を使って今年のドイツを私なりに振り返ってみたいと思います。

 DER SPIEGEL Chronik  stern Sonderausgabe 

 

●昨冬のガス危機は、LNG調達(ハーベック経済相が奔走)+節約+暖冬のおかげで、何とか凌ぎました。

 

 

⚫️ドイツの最新鋭戦車レオパルト2をウクライナに出す出さない(ロシアを過度に刺激するしない)で大揉めに揉めた後、結局出すことになりました。ちなみにピストリウス国防相(右)は、就任以来、ドイツ政治家人気NO1を独走しています。

 

 

●気候変動対策は引き続き重視されていますが、自分の家の暖房がさらに高くつきそうだという話(再エネ導入を義務付ける暖房法)になった途端、大反対が湧き起こりました。

Cicero 

 

●夏頃からドイツが今年先進国中唯一のマイナス成長に陥りそうだという話になってきました。インフレによる個人消費低迷+高金利、外需(特に中国向け)の低迷、人手不足、官僚主義、産業用エネルギー価格高などなど問題山積です。

 

 

●中国の補助金漬けEVがドイツ(欧州)に押し寄せ始めています。世界屈指の国際競争力を誇るドイツの対中貿易は巨額の赤字です。

Wirtschaftswoche FOCUS

 

メルケル前首相時代から続いていた、難民を(極力)全て受け入れよう、という方針(右)はもはや限界に達しており、EU全体で制限をかける方向に動き始めています。

 

 

●コロナ予算を気候変動などに振り返る財政トリックに違憲判決が出て、数兆円規模の財源不足が発生し、政府は来年の予算案をまとめられずにいます。

Wirtschaftswoche - ePaper stern

 

ハマスのテロ攻撃以降、ドイツ国内でも反ユダヤ主義が台頭し、政府は対応に苦慮しています(歴史的経緯から、強めの対応を強いられています)。

stern 

 

PISA(国際的学力)調査のドイツの成績は惨憺たるものでした(幸い日本はトップクラスでしたが)。設備(特にデジタル機器)不足、教員不足、コロナ、移民増などが下人とされていますが、長年にわたって全然改善されないので「産業立地上の危機」とも言われ始めています。

 

 

●そんなこんなでショルツ(信号機連立)政権に対する不満は高まる一方。 stern

 

野党第一党(CDU/CSU)は3割強の支持率でトップ独走。次の首相候補はこの3人(メルツ、ゼーダー、ヴスト)と言われています。

FOCUS stern

 

●極右政党AfDがどんどん支持を伸ばしており、全独で2割強、東独で3割強となっています。こんな過激な政党を禁止しなくて大丈夫か、という議論も沸き起こっています。

 

 

●極右のライバルとなりそうな極左ポピュリズム新党(バーゲンクネヒト党)が来年誕生予定となっています。

FOCUS 

 

●ドイツは世界で一番トランプ再選を恐れているように見えます。メルケル前首相ですら、対応に苦慮してましたので。

 

 

●唯一(?)の朗報は、ECB利下げ期待の台頭でDAX株価指数)が歴史的高値を更新していることくらいでしょうか。。。

Wirtschaftswoche DER AKTIONÄR

 

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