ウクライナへの軍事支援を妨害するため、ドイツ国内で爆発物を準備するなどロシアのためにスパイ行為をしていた疑いで、ロシア系ドイツ人の男2人が逮捕されたことについてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通り(写真はフェーザー内相の記者会見)。
- これらのロシア工作員は、将来の攻撃に備えてドイツ国内の軍事施設(ウクライナ兵の訓練場など)や各種インフラを偵察していた模様。
- これはロシアの侵略が新たな段階に入っていることを意味する。ロシアはドイツ国内で単なるマイクロフィルムのコピーや電話盗聴にいそしんでいるのではなく、物理的破壊工作を用意し始めている。
- ロシアの戦争はウクライナ国内に留まっていないことが改めて示された。
- 幸い今のところドイツ国内での破壊工作は阻止できているが、サイバー攻撃などと併せたハイブリッド攻撃のリスクは今後高まる一方だ。
- 西側諸国としては、総合的安全確保のための投資(スパイ対策、ITおよび重要インフラのセキュリティ確保)を最優先し、耐性を高め続けなければならない。
- 発覚したスパイ事件は、ウクライナの自衛能力だけでなく、西側諸国自身の自衛力と政治的安定性をも脅かしている。
- プーチンが志向しているエスカレーションは非常に危険である。ロシア工作員がもし本当にドイツ本土の軍事インフラへの攻撃を実行するなら、これは冷戦当時よりはるかに悪い状況だ。
- 偽情報キャンペーンやサイバー攻撃によって、プーチンすでにドイツに対して一種の戦争を仕掛けている。
- 偽情報に踊らされて国内が分断されているようではいけない。プーチン大統領をいたずらに刺激しない方がいいなどと主張する宥和主義者は、考え直した方がいい。ドイツが武力攻撃されつつある時にドイツが何をすべきかは明白なはずだ。
- この攻撃では最も準備が整っていない国が狙われる。長年にわたる親ロシア政策、スパイ活動への無警戒、そしてプーチンの危険性軽視は、ドイツをこの上なく脆弱にしている。
- ロシアによるハイブリッド攻撃対する十分な備えがドイツにあるとはとても思えない。ベルリンの壁崩壊(冷戦終結)以降、ドイツにおけるスパイ対策は軽視され、慌てて取り組み始めたのはここ数年になってから。
- ドイツ国内におけるスパイ対策を担当する国内諜報機関:憲法擁護局の人員不足は深刻で、技術面でも立ち遅れている。
- 何はとにかく、まずはウクライナが常にロシアの攻撃に対抗できるようにしておくことが最も重要。ウクライナ支援の手を緩める理由はどこにもない。
<日本語報道例>
<日独経済日記>