日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20240711 オルバン首相(ハンガリー)の中国訪問についてのドイツメディアの報道ぶり

 

ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相が北京で中国国家・党指導者の習近平氏と握手。

今年後半EU議長国を務めるハンガリーのオルバン首相の中国訪問についてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通り:

  • ウクライナとロシアへの訪問後、ハンガリー首相で現EU理事会議長のオルバンが中国を訪問した。同氏は「平和ミッション」と称した今回の歴訪中に、中国の習近平国家主席と会談した。
  • EU当局はこういった一連のオルバン氏の単独行動にどう対処するかという問題に取り組まざるを得なくなっている。
  • オルバンは、彼は自分にとって本当に重要な人物たち、プーチン氏と習近平氏のところに真っ直ぐに向かった。
  • 表向きの目的はウクライナ和平となっているが、本当のところはEU議長の座を悪用し、2人の重要人物と接触することを通じて自分を大きく見せようとしているだけである。
  • オルバン氏は和平調停者でも何でもなく、彼の単独行動は「不和」以外の何物でもない
  • オルバンはヨーロッパがロシアとの和平交渉に関心があり、ウクライナ問題でEUが分裂しているという印象を与えてしまっている。
  • オルバン自身にウクライナ戦争を終わらせる影響力は全くない。EUを代表して交渉する権限はないので、ハンガリー代表として中露とお話ができるだけ
  • オルバンはEUの諸制度について疑問を投げかけ、政策プロセスを妨害してきたEUNATOの問題児である。
  • 民主主義のプロセスはまだるっこしいので、露中のように強い男が勝手に決めてサクサク進めた方がいいくらいに思っている。
  • 残念ながら、彼の反EU的なビジョンとレトリックは、ヨーロッパ中のポピュリスト/ナショナリストの間で支持を広げている。
  • ポピュリストやナショナリストに対抗するためには、数の力や懲罰で抑え込むのでなく、ヨーロッパの価値観を尊重しつつ、移民、気候政策、ウクライナ戦争などの重要課題において、EU市民の懸念に配慮したバランスのとれた政策を実現していくしかない。
  • 従って、ハガリーがEU議長国である間どう対処するか、というテクニカルな問題ではない
  • しかし、ハンガリーEU議長国として勝手なことをしないよう、ハンガリーの行動範囲を大幅に制限する可能性を検討すべきかもしれない。
  • ハンガリーEU議長国から早めに外すという難しい選択肢もあるが、その場合オルバンは「自分はEUダブルスタンダードの犠牲者」になったと吹聴し、EUにより大きな損害を与えてしまうリスクが高い。
  • オルバン自身に何らEUを代表するような権限はなく、取るに足らない人物であるということを国際的に明確に伝えておかなければならない。
  • 一方で、どのみちウクライナ和平は完全に行き詰まっているので、リスクを管理しつつオルバンにチャンスを与えてみればよいという考え方もある。
  • トルコのエルドアン大統領と並んで、オルバン首相は中国やロシアと良好な関係を持つ唯一のヨーロッパ人であり、NATO国首脳である。
  • オルバンを非難する前に、まずは西側諸国が自らもっと行動すべきなのではないか。ウクライナが数年後の和平交渉で弱い立場から交渉しなければならないような状況を避けるために、早急かつ十分な武器供給による支援に徹するべきだ。
  • 世界的に武器が不足しつつある上、トランプ政権誕生後はややこしくなりうるので、今のうちから常にあらゆるオプションを確保しておくことが重要。

<関連日本語報道>

www.bloomberg.co.jp

 

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