日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230926 最近急増する難民への対応についてのドイツメディアの報道ぶり

建物の前の庭に人々が長い列を作り、難民施設への入場を待っている。

最近イタリアのランペドゥーサ島に大量の難民が押し寄せてくることに対して、イタリア政府とEUが対応に苦慮していますが、ドイツにも受入キャパを上回る難民申請者が前年比8割増のペースで集まってきており、受入側の地方自治体などが悲鳴を上げています。最近の難民問題についてのドイツメディアの報道ぶりを以下ご紹介します。

  • ロシアによるウクライナ侵略戦争が始まって以来、ドイツは100万人以上のウクライナ戦争難民を受け入れているため、住居や資金が不足し、学校・保育園、医療現場のキャパシティにも問題が発生している。
  • 地域によっては、これ以上の亡命希望者受け入れに住民が抵抗し始めている。
  • 難民申請者の大多数はそもそも政治的に迫害などされておらず(「安全な出身国」)、単にドイツでのより良い生活を望んでやってきているだけであることは事実。
  • その移動を違法に支援する悪徳業者が欧州内外にはびこっていることも事実。
  • ドイツにとって、亡命の基本的権利の尊重は、歴史的に特別な意味合いを持っており、難民問題は常に政治的・道徳的に取り扱いが困難で、簡単な解決策など存在しない
  • ドイツの政治家は超党派での協力を呼びかけ、延々と議論を続けているが、何ら実効性のある解決策/アクションに辿りついていない。
  • 特にGreenは理想論に固執せず、現実的解決策に譲歩すべきである。
  • 現在議論されている対策:(特にポーランドチェコとの)国境警備強化、亡命審査手続/受入拒否者の強制送還の迅速化、受入数上限設定、受入サイドに対する追加予算配分など。
  • ヨーロッパ内外関係諸国との各種協定EU内割り当て、難民出身国支援など)は、過去に成功事例もあり、至急取り掛かるべきである。
  • 受け入れた難民はしっかりドイツ社会にインテグレートして自律的生活を営めるように(労働力としてフル活用)しなければならない。
  • 鎖国や権利剥奪は難民の数を減らすことはない一方で、私たちの民主主義に多大な危険をもたらす。もしこの社会が、戦争や暴力から逃れてきた人々の基本的権利を今日剥奪するというなら、明日一体何ができるというのか?
  • 難民問題に対する不満は、右翼ポピュリスト(ドイツではAfD)への支持増加に直結してしまっており、非常に心配である。

 

<ドイツでの難民申請者数推移> 左端(橙)は別枠のウクライナ難民(110万人)

 

<政党別支持率推移> 難民増加と平仄を合わせたかのようなAfD(青、極右)躍進

 

<関連日本語報道>

jp.reuters.com

 

www3.nhk.or.jp

 

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