スイス・ビュルゲンシュトックで開催されたウクライナ平和サミットに対するドイツメディアの報道ぶりは以下の通り:
- このスイスでの首脳会談は、ウクライナとロシアの間で将来起こり得る和平交渉の基礎を築くことを目的としている。
- 主催国スイスのアムヘルト大統領は「参加国の大多数が声明に同意したという事実は、外交が忍耐強い努力を通じて何を達成できるかを示した。」とポジティブに総括。
- 声明は、国際法遵守、ウクライナ領土に対するロシアの攻撃拒否、核兵器による脅迫非難、ザポリージャ原発の保護、穀物輸出海路の確保、捕虜全員の交換、拉致されたウクライナ人の子供の返還、などを要求。
- 参加90か国中80カ国の声明賛同は、更なる会合に向けた貴重な一歩となる。
- インド、南アフリカ、サウジアラビアなど、出席国の一部大国は声明に署名しなかったが、その理由については説明しなかった。
- サウジアラビアやトルコは、将来のウクライナ和平サミットのホスト国となる可能性があるものの、対ロシアのスタンスを修正するかどうかはわからない。
- ロシアは当サミットに招待されなかったが、今後の参加の条件は、ロシアが国連憲章に基づいて和平への準備を整えること、とされている。
- ロシアは呼ばれず、中国は招待を拒否したため、本サミットの成果は(実務的前進感が乏しい)象徴的なものに留まる。
- 戦争当事者であるロシアや重要な役割を担う中国抜きでのサミットは、単なるショーであり、実質的に全く意味がないという見方もある。
- ゼレンスキー氏とプーチン氏が今後いつ、どこで同じ交渉のテーブルに着けるかについては全く見通しがつかない。(【加筆】イアンブレマーのG-Zeroは、「ロシアも中国もこれで動く気配は全くない」と評価。)
- どんな国でも、他国が自国の領土の割譲を主張したら、戦い続けるしかない。
- 全会一致にならないのは仕方ないが、13もの国が、原発保護、穀物輸出、拉致された子どもの帰還すら支持せず、ロシアを非難しようとしないのは、何とも悲しく、情けないことだ。
- プーチンの侵略をいかなる形でも容認すれば、ヨーロッパの一戦争に留まらず、世界秩序を大きく変えることになる。
- どんな争いでも、殺し合うよりは話し合う方がマシであることは間違いない。
- ドイツとしては、国際調停をさらに進めるため、今回署名を拒否した国々と集中的に粘り強く交渉し続けることが重要だ。
- 停戦への道はまだまだ長い。西側諸国としては、ウクライナを軍事的に優勢にして、ロシアを和平交渉に追い込みたい。
- イタリアG7サミットでは、ウクライナへの軍事的/財政的/人道的支援を必要な限り継続することをコミットした上で、凍結ロシア資産活用による500億ユーロの資金を確保した。このステップは非常に大きな成果である。
- 次回の会議では西側の具体的な戦争目的を設定すべきだ。「ロシアに勝たせてはいけない」といった抽象的表現ではもはや十分ではない。
<日本語報道例>
<日独経済日記>