日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20240616 週末のBloombergより

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FOMCのプロジェクションのメジアンは年内の利下げ1回のみとややホーキッシュだったが、CPI・PPIとも予想以上に落ち着いていたので、市場の織り込みとしては9月開始6割、年内ほぼ2回近くで越週。
FEDは利下げを全く急いでいないが、次の一手が利上げではなく利下げということなので、年内2回程度の市場織り込みは十分正当化できる。特に最近の求人数急減はFEDも少しは気掛かりなはず
◆不動産でも消費者周りでも、弱い部分では綻びが目立っているが、これらはずっと前から見えているもので全体としてはむしろ持ち堪えている。悪影響が他に波及していく感じはまだない。
FEDメンバー達(来週多数の講演が予定されている)のトーンは相応に割れているが、利下げ開始タイミングを測る上では、インフレの減速度合いだけ見れば良い。現在の金利水準が(数回下げても)かなり引き締め的であることは間違いなく、何かが壊れるまで不必要に引っ張る必要はないはず。
FOMCとインフレデータがあったので、起債市場はやや静かだったが、米長期国債の売れ行きは好調だった。
◆タイトなクレジットスプレッドにも関わらず、引き続き絶対イールドに魅力を感じた買いがしっかり入り続けている。
◆インフレの落ち着きを重視している長期金利はどちらかというと低下方向にあり、景気減速を示唆する指標(小売や雇用など)が出れば、デュレーションを伸ばすための買いが一気に出てきそうな雰囲気。
金利とインフレの両方で苦しむ低所得の消費者が一番弱そうなので、失業率や延滞率などをよく見ておくべき。小売は富裕層が支えているのでどちらかというと遅行指標になる。
◆小売まで弱っている頃には、これまで絶好調だったハイイールド債のパフォーマンスもかなり怪しくなっているはず。
◆濃いめのクレジット投資ではshort durationとup in creditを強く意識しておくべき局面か。

 

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トランプ氏の経済政策(関税引き上げ、移民制限、再エネ補助金削減、FEDへの圧力など)は過去に前例のないほどのインフレ圧力になる。
所得税の半分を関税で賄おうとするだけでも相当な関税率引き上げになり、スタグフレーションは避けられない状態になる。その際、税負担の逆進性により中低所得者層が最も苦しむことになる。
◆ロシアの凍結資産を(金利部分だけでも)ウクライナ支援に使うというのは米国の画期的外交成果。(副作用はあるものの)賠償責任のあるロシアに返すわけにいかないのだから、もっと大胆に活用する余地もある。
◆このようにしていなければ、貧困・疾病克服や脱炭素など他の重要なグローバル問題への対応に必要な資金が減ってしまっていたはず。
欧州議会選挙の右傾化で独仏政権が特に大きなダメージを受け、伊メローニ首相が非常にまともな極右代表に見えるようになってきている。G7の主催ぶりも実に見事だった。
◆ルペンはベースは極右でありながら、極左的バラマキによる人気取りを志向しており、これが市場を震え上がらせている。フランスに対する財政懸念は、もともと状態の悪いイタリアの財政への懸念にも飛び火している。
◆英国は逆に労働党が政権を奪って左傾化しようとしているが、経済政策的にはトラス危機を招いた保守党よりずっと安定的で安心感のあるものとなっている
◆対内直接投資の獲得競争においては、米国の優位が揺るぐことはなさそうながら、欧州の中では英国が意外と魅力的投資対象国に浮上する可能性があり、対ユーロでポンド高材料になりうる。
◆モディ政権は、貧困層/地方/非ヒンズーとそれ以外の分断を深め、得票率を予想以上に落としたものの、経済政策については特に軌道修正しようとしているようには見えない。
◆資本主義のもとで貧富の差が拡大し、社会主義を求める声が高まっている。その最大の原因は、経済危機時の政府の誤った介入(Bailout)にある。ゾンビや既得権益の救済/保存は生産性を落とし、問題解決に必要な原資となるべき健全な成長を阻害している。
◆現状のシステムに対する不満が高まっており、昔は現職政治家の再選確率が7割くらいあったが、近年はその半分くらいになっている。政治家にはこれまで以上に正しい処方箋の提示が求められている。

 


●トランプ関税(世界一率10%以上)による米消費者の負担増イメージ

 

FOMCプロジェクション>

www.federalreserve.gov

 

<インフレNOWCAST>~前月比で+0.1~0.2%が続いて欲しいところ。

www.clevelandfed.org

 

国債スプレッドモニター>

www.investing.com

 

 

 

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