日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20240309 週末のBloombergより

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◆パウエル議長証言と米雇用統計(新規雇用と賃金が気持ち弱目)により、政策金利を中立水準に向けて微調整する利下げがいよいよ6月あたりに始まるという現実味/手応えが出てきた一週間。
◆問題はその後の利下げペース。市場が織り込む年内計3.8回という点についてはまだ確信が持ちづらい。3月20日FOMCでのドット(12月は年内3回利下げを示唆していた)の変化には要注意。
◆利下げ開始の確信が高まったため、高利回りの手元流動性をそろそろ本格的に中長期債にシフトしようと考える投資家が増えてもおかしくない局面。
◆今後注目すべきはやはり消費者の動向。米国の過剰貯蓄は既に使い果たされており、予想外の強さは出にくくなっている。賃金、延滞、小売売上などを丹念に見ていくべき(現時点では「正常化」の範囲内であり、軟化の方向性はまだ明確でない)。
◆来週火曜のCPIでは、ずっと前から出ている家賃低下の兆候がどれだけ顕在化するかと、逆に、1月の強さが続いてインフレ再加速のリスクが高まっていないかに注目。
◆そろそろQT(FEDの資産圧縮/債券売却)の今後の軌道修正も要注視。幸いFEDは非常に慎重かつ透明性が非常に高いため、市場を混乱させる可能性は低そう。
◆クレジットスプレッドがタイトなので発行体の起債意欲が高い一方、金利の絶対水準が魅力的(IG5%、HY8%が目線)なので投資家の買い意欲旺盛で、起債は過去最高ペースの活況ぶり。今年前半はこの勢いが維持できそうな感触。
◆ハードランディング回避の可能性が高まっているので、より高い利回りを求めてより格付けの低い社債への投資意欲も高まりつつあるが、個別の(idiosyncratic)クレジットリスクの見極めは極めて重要。
◆NYCBの問題あるものの、地銀や商業用不動産全体に深刻な問題が他にも隠れているようには見えない。

 

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◆雇用統計は経済がしっかりしている割にインフレは落ち着いているというBig Pictureを変えるものではなかったが、FEDの2%インフレ目標達成を特段後押しするものでもなかった。
◆(サマーズ教授の見方)米中立金利FEDが言う2.5%よりは4%に近い(早期利下げの必要性を大きく低下させる)可能性がある。FEDは利下げに慎重であるべき。
◆バイデンが一般教書演説で(高齢にもかかわらず)頼もしい姿を示したことは米国にとって朗報。放漫財政や保護貿易などのポピュリズム台頭は米国にとって非常に危険であり、回避されるべき。
◆中国は今年5%成長を目指すと言うが、現在の窮状から脱出するために有効な施策(金融/財政政策)は何も打ち出されなかった。
習近平は経済を重視していない上、米国は誰が大統領になっても対中強硬政策を今後も取り続ける。対中投資は全くワークしない環境になっており、実際に急減している。
◆ドイツはこれまで、安全保障を米国に、エネルギー確保をロシアに、市場を中国に、自分に都合のよい形でアウトソースしてきた。
ベビーブーマーの男性たちが築いた巨額の富は、相続されて次世代に受け継がれるというより、まず彼らの未亡人の手に渡る。富が女性にシフトし、投資家としての女性の役割も高まっていることを忘れるべきでない。
◆金融におけるダイバーシティが高まれば、より正しい判断が可能になる。また、お金がより女性の利害のために使われやすくなる。このことを世の中の多くの男性が全く理解していない。
◆GEは過大になった債務を圧縮し、コングロマリットディスカウントを解消するため、ヘルスケア、エネルギー(ガス/原子力+再エネ)、航空機(含む軍事)の3事業に集中/分割するリストラを断行してきた。
◆少数の重要顧客への対応は、企業としての優先順位が常に高いので、短期的には重要だが、それ以外の中長期的視座を見失ってはならない。
カーボンニュートラルを達成するには、全エネルギー供給の1/4を風力発電でカバーし、産業の大部分を電化する必要がある。民間主導でその推進を図る必要があるが、先進的送電網などのインフラ整備においてはPPP(緊密な官民協力)も重要な選択肢。

 

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