
◆今週のマーケットの最大のポイントは、世界的信用リスクの上昇(投資適格債の信用リスクは、5年CDSで116bpとパンデミック以降最高水準)と、米国債市場の変調(安全資産としてのステータス喪失的な売り)。
◆中国以外の相互関税が90日停止された一方、米中2国間の貿易戦争が極端にエスカレート。世界のGDPの4割超を占めるこの2大国の変調だけでも、世界経済への悪影響は十分大きなものになる。
◆株が軟調だったこの8日間で米国債利回りは10年物で∔36bp、30年物で∔39bpと奇妙な上昇。日独国債を大きくアンダーパフォーム。社債を含む債券保有者や住宅市場に大きなダメージを与えている。
◆この米長期国債市場の不安定化をトランプ政権も強く懸念。「すべては計画通り」と強弁しつつも、米国債セルオフは利払い負担急増に直結することもあり、相互関税一時棚上げのきっかけとなった。
◆10年物米国債利回りには強い上昇モメンタムがあり、早晩5%に達する可能性がある。本来アンカー役であるはずの安全資産におけるボラ急騰は、他のリスク市場に悪影響を広げるリスク大。
◆今後6〜12か月はすべての資産にとって変動の大きい期間となる可能性が高いが、FEDが大量の国債買い入れや緊急利下げなどで介入するような状況ではない。先週の10年/30年米国債入札は無難に消化された。
◆一方で、米長期金利の奇妙な急上昇は、事態が落ち着けば結果的に絶好の投資機会だったということにもなりうる。米国が信認を失いつつあるというのは事実だが、トランプ関税によるインフレ期待の悪化に反応しているだけという可能性もあり、米国債への信認が崩壊に向かうという確証はまだない。
◆各種資産価格の予想外の暴落を受けてマージンコールなどが多発しており、投資家のバランスシート余力/リスクアペタイトはこの数か月でかなり小さくなっている。
◆今の不安が解消されるためには、①強い成長と低インフレが維持される(スタグフレーション懸念が払しょくされる)か、②資産価格の底値確認に自信が深まる、のどちらかが必要そうだが、すぐにそれらが実現する可能性は低そう。
◆米長期国債の消化に対する不安が高まっている局面で、米財政が拡大に向かっているので、市場の不安や混乱はむしろ長期化すると覚悟しておいた方が良さそう。
◆米社債スプレッドはIG114bp/HY434bpに拡大したが、将来の巨大な不透明感に対して十分魅力的水準とはみなされていない模様。米国債金利上昇とのダブルパンチでもある。起債も一時停止状態。
◆変動金利のレバローン価格(これまで97近傍で安定的に推移してきた)が94.5まで急低下してきているのも危険信号。
◆米国債市場の流動性が心配され始めている割に、クレジット系ETFは今局面でも流動性高く、市場の混乱を緩和する上で役立っている。
◆市場の混乱は常に大きなチャンス。トランプ関税に耐性の高い銘柄を安く仕入れる努力は報いられる可能性が高い。
◆来週は市場の値動き、米銀決算(でのガイダンス類)、ECB理事会に注目(▲25bpの利下げがフルに織り込まれている)。金曜はイースターで欧米市場とも休場。