ドイツ取引所新聞が「古いバンカーに別れを告げる」という(元銀行員の私としてはこの上なく興味をそそられる)社説を書いていましたので、そのメッセージをかいつまんでご報告します。
「老兵は去る/若者に託すべし」的な論調でちょっと耳が痛いですが、ト真ん中のド正論であり、さすがドイツ的ロジカルシンキングだなと感心しました。
- 銀行における人材マネジメントは、これからのデジタル化対応とサステナビリティ対応を考えると、銀行経営にとってダントツの最優先事項になる。
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かつての銀行のビジネスモデルは、いかにして競合他社を上回るサービスを提供できるかにかかっていた。
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数々の金融危機を経て、各種の金融規制がビジネスモデルに影響を与えるようになってきたため、間接部門を中心にますます人手が必要になった。
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近年は人出不足がひどくなり、一部の銀行では、スーパーのレジやホテルのレセプションからスタッフを引き抜いて銀行の支店に配置するまでになっていた。
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このような(熟練)労働力不足は、今後数年でベビーブーマーが退職するにつれてさらに悪化する。今後10年間で、銀行の全職種の30%以上が退職により空席になる。
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長く勤め上げた銀行員が退職すれば、その経験や専門知識、顧客リレーションも一気に失われてしまう。しかし古参銀行員の退場は、銀行にとってチャンスである。
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高給取りの古参銀行員の退場は、若いプロフェッショナルに魅力的なオファーを出すための財源を生み出し、今後必要となる変化への対応を容易にする。
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銀行業界では統合、標準化、自動化が進んでおり、人手の需要は制御可能。
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団塊の世代の退職により、銀行のデジタル化と持続可能な変革の両方を加速させることが可能になる。銀行における多くのプロセスが根本的に変化しており、これまでとは異なる考え方が必要(古いノウハウはかえって邪魔)。
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デジタルネイティブであり、幼い頃から気候変動の影響に敏感であった若者は、今後銀行が必要とする変革に対して、圧倒的に貢献しやすい。今後の銀行の採用計画や人材育成は、こういった状況を踏まえて一新されなければならない。
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銀行は若者に対する雇用主としての魅力を格段に高める必要がある。
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給与面だけでなく、成長機会ややりがい、何にでも挑戦できるカルチャー、ダイバーシティ、データによる業務サポート体制などなど、銀行が揃えるべきものはたくさんある。
<関連のご参考>~銀行数、支店数、従業員数、財務状況など