49ユーロで1ヶ月ドイツ全土の近距離公共交通機関乗り放題の「Deutschlandticket」が昨日5月1日からスタートしました。ドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。
- 地方公共交通機関の大改革かつデジタル化の始まり。
- ドイツ鉄道では乗客の5人に1人、定期券利用者の約3/4(17百万人)が利用すると予想。
- 昨夏3か月限定で導入された同様の9ユーロ切符は格安ですぐに元が取れるため、日帰り旅行者に活用され、週末は多くの電車や駅が大混雑となった。
- 今回の49ユーロ切符は、日帰り旅行というよりは、通勤・通学、長距離/宿泊つき/月数回の旅行に適している。
- 但し、49ユーロ切符では家族や犬、自転車の同伴に追加料金が発生する点に注意。
- 9ユーロ切符ほど多くの人が使うわけではないので、少なくとも今のところ混雑を引き起こしてはいない。
- 但し一部のWEBサイトや窓口では申し込みが殺到したためワークしていない。
- インフレで苦しんでいる低所得者層への割引制度がない点は不満。
- 連邦、州、運送会社の間で資金負担でこれだけもめたので、早晩負担に耐え切れないところが出てきて値上げせざるを得なくなりそう。
- 自家用車から公共交通機関へのシフトが進めば気候変動対策にもなるが、そのためには10分おきの運行やキャパ拡大、自転車を安く持ち込めるようにするなどの利便性改善が必要。
なお、国境付近から海外に伸びるローカル線の一部でもこのチケットは有効なので、厳密に言うとドイツ全土だけでなく、海外(ザルツブルク、ルクセンブルクなど)にも無料で行けるということになります。
また、49ユーロ切符を来春以降ずっと続けると仮定した場合のインフレ押し下げ効果については、ドイツ連銀が以下のように試算しています(但し、廃止した場合にはこれらと同程度の反動増が出る点、これらは既に各種インフレ軌道予測に織り込み済みである点には注意)。
導入月(5月):▲0.3%押し下げ
2023年通年:▲0.2%押し下げ、2024年通年:▲0.1%押し下げ
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