日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230608 中国ドイツ商工会議所業況サーベイ結果について

Post-COVID Flash Survey.pdf

 

中国ドイツ商工会議所(AHK)から本日、「ポスト・コロナ臨時業況サーベイ」の結果が発表されましたので、そのエッセンスをご紹介します。

 

【全体的な印象】

  • ゼロコロナ政策終了で期待されていたほどの景気回復は実現していない。
  • 地政学的な緊張がある上、当面の市場見通しが思わしくないので、中国に進出しているドイツ企業は将来についてやや悲観的。

●状況が良くなるという企業と悪くなるという企業が両方同じくらい増加。


●ここ数年の対中警戒の高まりとともに投資意欲は相応に低下も、引き続き高水準。

 

●売上と利益の見通しは、前回調査比悪化。

 

●投資を増やさない方針の会社は、中国市場の成長鈍化と地政学リスクの高まりを強く意識。

 

●投資を増やす方針の会社は、中国巨大市場での競争力維持、市場成長期待、顧客/取引先のローカル化要請を意識。

 

地政学環境の変化の中でリスクを最小限に抑えるため、在中国ドイツ企業は、現地化と多角化(脱中国)を両にらみで進めている。 

 

中国政府には消費者サポートを強く要望(関連情報下添)。

 

●中独政府間協議に期待するのは、規制の透明性向上と脱炭素・デジタル・EV/自動運転分野での協力
足元の景況感低迷についても、6月20日にベルリンで開催される独中政府協議で議論される可能性が高い。

 

●中国人社員のドイツ出張用ビザ発給(ドイツ側の対応)に3/4が不満

 

●回答企業288社(機械3割、車2割)、5月9~17日

 


●ちなみに別件ですが、ドイツ連銀の直近(5月)月報の中で中国経済は、もともとインフレもない中、ゼロコロナ終了後、相応に景気はリバウンドしているが、輸出はアジアやロシア向け以外はイマイチで製造業も冴えない、と分析されています。コロナ後は特にリベンジ消費に期待したいところなのですが、可処分所得(上線)も個人消費(下線)もコロナ前のトレンドから明確に切り下がったままなかなか戻って来ないというグラフもこれひとつだけわざわざ選んで掲載されています。