日独経済日記

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20230623 ドイツ銀行協会「ドイツにおける銀行の役割」

https://bankenverband.de/unternehmensfinanzierung/rolle-der-banken-deutschland-auf-einen-blick/

 

昨日ドイツ銀行協会が、「ドイツにおける銀行の役割」という冊子(ポジションペーパー)を発表しており、その内容がなかなか興味深いのでご紹介します。

 

銀行は経済の循環器系統

  • 銀行の役割は、必要な場所に資本が確実に行き渡るようにすること。
  • 銀行はイノベーション、進歩の原動力となり、企業、団体、公共体、従業員、年金受給者、自営業者、学生などあらゆる種類の顧客に寄り添い、財務目標の実現をサポート
  • 銀行は経済成長と雇用に大きく貢献している。
  • デジタゼーションとサステナビリティにおいても重要な役割を果たす。
  • 欧州の気候変動目標達成には、年約3,000 億ユーロの投資が必要とされているが、これは効率的な銀行セクターの支援があって初めて可能になる。
  • 銀行自身ESGリスクをしっかり管理しつつ、顧客のトランスフォーメーションを支援する。

 

銀行は価値と雇用を創出

  • ドイツの銀行業界が生み出す付加価値は年730億ユーロ(GDPの約2%)
  • ドイツの銀行業界は 54万人以上を雇用(全雇用の1%強)

 

銀行は経済に必要な資金を提供

  • 銀行貸出総額は1兆1000億ユーロ
  • 企業負債の80%が銀行貸出。
  • ドイツの輸出のほぼ90%が民間銀行を経由

 

銀行はイノベーションを促進

  • 2021年にはドイツで720億ユーロのグリーンボンドを発行(OECD内トップ)。その95%は民間銀行がアレンジ。
  • ドイツでは7,200億ユーロがサステナブル基金に投資されている。
  • ドイツ3大銀行(ドイツ、コメルツ、ウニクレディト/ヒポフェラインス)だけでも1万社以上のスタートアップを支援

銀行は資本市場の入口

  • 銀行は2,500億ユーロの社債流通を支えている。
  • ドイツ企業の株式の約半分(約8,000億ユーロ相当)の上場・流通を民間銀行が支えている。
  • 一般家庭の23百万件の証券保管口座とその1,110 億ユーロ相当の有価証券を銀行が管理している。 


銀行は人々の日常生活をサポート

  • スーパーでの買い物、レストランでの支払い、オンラインでの買い物、旅行の予約などで、銀行は日常生活をサポート。
  • その際必要とされる、効率的・便利かつ安全な決済システムを提供
  • スマートフォンの中に銀行を持ち歩けるようにしている。
  • 顧客は1日に最大8回バンキングアプリを開いたり、オンライン・バンキングにログインしたりしている。
  • 現在、56%がオンライン銀行取引を活用
  • 家計の資産形成(不動産+金融資産)についてのアドバイスも提供。
  • 銀行取引手数料は他の欧州諸国比低い。

 

銀行はあらゆる決済サービスの担い手

  • 1億1,400 万件の当座預金口座を管理。
  • 年71億件の送金を遂行。
  • ドイツでは1億7,400 万枚の銀行カードが流通。
  • 1 日22百万回以上のカード決済を処理。
  • 55,000台のATMを管理。
  • ATMでの現金引き出しは1日380万回
  • 預金保険には、法定保護 (顧客および銀行ごとに10万ユーロ) 以外にも、任意保護 (75万~500万ユーロ)の制度があり、世界でも類を見ないセーフティーネットを提供。 

 

銀行は資産形成をサポート

  • 1兆2000億ユーロの住宅ローンを供給。 
  • 国内1,290万人の株主の口座を管理。


銀行は社会の一部

  • その他社会にとって重要な活動を支援。
  • 財団は収入の49%を投資から得ているが、そのほとんどを銀行が管理
  • 金融教育における教師向け教材やワークショップ機会の提供などでも社会に貢献。

 

<関連ご参考>

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