日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230705 ドイツの小売、じり貧継続

https://einzelhandel.de/index.php?option=com_attachments&task=download&id=10681

 

冒頭のグラフは、ドイツの小売売上はGDPの2割弱、個人消費の約1/3であることを示しています。

ドイツ経済は今年通年でマイナス成長(平均で前年比▲0.3%程度)に陥るという予測が足元圧倒的に優勢ですが。。。。

https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/06/PD23_258_45212.html

 

その主因はインフレで可処分所得が大きくマイナスとなる(左)ことによる個人消費低迷(右)とされています。

  

 

その個人消費の1/3を占める小売売上は、直近5月まで、名目(薄赤)は上昇トレンドにあるものの、インフレに食われて実質(赤)の減少トレンドが続いています。

 

コロナ後急成長したネット販売(赤、小売全体の15%弱を占める)も、最近は全体(青)と同様に低迷しています(共にインフレ後の実質ベース)。

 

ドイツの2大消費者センチメント指標(赤:HDE、青:GfK)とも、最近戻し気味ではあるものの、まだかなり低水準にとどまっています。

 

今年、来年と+5%程度の賃上げが見込まれており、いずれは実質賃金プラス転換⇒個人消費持ち直し、という軌道に入ると思われますが、今のところまだその兆しは確認できません

ドイツ小売業協会(HDE)が7月4日に発表した新たな予測によると、今年の小売売上高は、実質ベースで前年比▲4%(従来予想▲3%を下方修正)の着地が予想されています。但しこれは名目ベースではプラス3%を意味しています。

ちなみに、マーケットでは米国と無理やりそろえて見ようとするあまり、ドイツの統計でも前月比をヘッドラインとして重視しがちですが、日曜や祝日ほぼすべての小売店が閉まっているドイツでは、当該月の日曜や祝日の日数の影響が大きすぎるので、前月比で統計の強弱を見る意味がほとんどありません。上図のようなインデックスの3か月移動平均ベースでトレンドを確認する(下図のような前月比での見せ方はあまり重視しない)ことを強くお勧めします。