日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230802 フィッチ米国債格下げについてのドイツメディアの報道ぶり

 

欧格付機関フィッチが予想外のタイミングで米国債格付けをAAAからAA+に1段階引き下げたことについてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。ニュースとしての扱いはそれほど大きくなく、(2011年のS&Pの時と違って)まあオオゴトにはなるまい、と割り切っている感じです。

 

  • 2011年のS&Pに次いで、格付機関フィッチが米国債から最上級のAAAの格付けをはく奪した。但し大手格付機関ムーディーズはまだAAAを維持している。
  • フィッチは米国株式市場の引け後に、米国債格下げを断行した。
  • 高水準の債務残高、税金や債務問題などに対するガバナンスの悪化、特に20年間継続し繰り返されている債務上限問題(今春も繰り返された)がその理由とされている。
  • 今春数週間にわたって繰り広げられた、債務上限引き上げをめぐるゴタゴタは確かに悲惨だった。短期間でもデフォルトしていたら、世界的金融危機と景気後退の引き金になりかねなかった
  • 「債務上限をめぐる度重なる政治的行き詰まりと土壇場での決定により、予算管理に対する信頼が損なわれている」とフィッチは表現している。
  • フィッチは今年5月に格下げの可能性を示唆し、債務上限合意後もそのスタンスを維持し、格下げのタイミングを伺っていた
  • 米政府は「古いデータに基づいており恣意的」(財務相)、「あまりにも非現実的」(報道官)などと強く反発している。
  • 2011年のS&P格下げの際は、米国景気の先行きに対する不安もあって、ドル下落、株下落、米国債急騰(利回り急低下)となった。
  • 多くの投資家やアナリストは今回の格下げの影響は限定的と見ている。
  • この格下げ後も、米国が国際資本市場で有利な資金調達ができる状況は変わらないだろう。米国の経済力と、基軸通貨としてのドルの役割は、今後も米国債が安全であるとみなされ続けることを確実なものにしている。
  • FRBに対する高い信認もあり、米国債は国際的投資家にとって数少ない「セーフ・ヘイブン(安全な避難所)」とみなされている。
  • 但し、一部の保守的投資家がドイツやオランダなど他のAAA銘柄に投資先をシフトする可能性はある。その場合ドイツの資金調達コストが低下するかも。
  • 米国は当面、さらなる逆境に見舞われることはない。フィッチはアウトルックを「安定的」としているので。

 

<日本語報道例>

www.bloomberg.co.jp

 

ドイツ国債のAAAは当面盤石でしょうね。

www.bloomberg.co.jp