2021年8月15日にアフガニスタンでタリバン政権が誕生してから2周年を迎えたことについてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。
- 米国主導によるアフガニスタンからの国際軍全面撤退後、タリバンは電光石火の進撃で全土を制圧し、政権の座についた。
- タリバンは当初シャリア法の下で女性の権利を尊重すると約束していた。
- しかし実際にはこの2年間、女性と女児の権利の大幅な制限を積み上げてきた。
- タリバンの女性軽視の価値観:女性は家の中にとどまり、娘、妻、母親として伝統的な役割モデルに従わなければならない。女性は勉強することも働くことも許されない。女性が外出できるのは、男性の親族が同伴しているときだけ(違反すれば鞭打ち)。
- 女性たちは公の場から追放され、教育機関や労働市場から排除され、移動の自由は著しく制限されている。
- 女性にとっては将来の展望が全くない国となっている。
- 政権奪取前にタリバンが支配していた農村地域を見れば、そうなることは明らかだったのに、国際社会はそれに目をつぶってしまった。
- 米国は政治的判断で、アフガニスタンを性急かつ安易にタリバンに引き渡した。
- 西側はことごとく戦略を間違えてきた。ニジェールでの混迷もその典型事例。
- もっと優先すべきは人道的大惨事との戦い。現地の援助団体が食料や医薬品の確保に窮しているのは本当に痛ましいことだ。
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タリバンは全国民の支持を得ていると主張しているが、これは真実から程遠い。
- 全人口約40百万人のうち、この2年間で160万人もの人々が国外に脱出したと言われている。その多くが医者や弁護士などの知識人層や高度スキル人材。
- あらゆる交渉の可能性を活かして、タリバンの孤立を終わらせなければならない。
- アフガニスタンはこの地域において重要な位置を占めている。イランとの水利用の調整や、パキスタンでテロとの戦いに、タリバン政権の協力が必要。
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幸い、国内の内部分裂は回避され、国内の治安状況は改善している。しかし、その改善もタリバンのテロが政権奪取後に減っただけという面が大きい。
- 世界銀行の分析によると、インフレは低下し、通貨は安定し、税収は増加したという。しかしこのマクロ経済の安定も一般市民の生活の向上にはつながっていない。
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アフガニスタンで何らかの前向きな変化を引き起こすためには、あらゆる外交ルートを通じて、あらゆる経済的および政治的手段を発動し、抑止力となる制裁を実施する必要がある。
- アフガニスタンはシリアと並んで世界で最も危険な国とみなされていたにもかかわらず、難民は同国に強制送還されてきた。
- 今や多くの人が、アフガニスタンからどう脱出するかしか考えていない。
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アフガニスタンの女性の亡命を支援することは非常に重要。
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アフガニスタン政策についてはこれまで欧州は米国の方針に従うしかなかった。しかし今やバイデン政権はもはやアフガニスタンにほとんど関与していない。
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欧州は米国から独立したビジネス指向の新たなアフガニスタン戦略を策定する必要がある。アフガニスタン経済の復活を人道危機の克服に結び付けるような道を模索すべきである。
- アフガニスタンの状況を単に追認するのはいい加減に終わりにしなければならない。