日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20221218 英Economist誌「The World Ahead 2023」ドイツ語版のエッセンス

ドイツ週刊誌Focusは毎年この時期に、英Economist誌の別冊「The World Ahead」シリーズのドイツ語版を出してくれています。電子版が単品(定期購読不要)で買えるので、毎年必ずチェックするようにしています。 

 

 

ざっとチェックした結果、今回号の中で特に念頭に置いておくべきは以下諸点と思いました。

  • 表紙に登場する人物の顔ぶれは2023年におけるキーパーソンで、写真の大きさは重要度合いを示している。従ってプーチン習近平がダントツで重要(常時モニターしておくべき)。
  • 来年ダントツトップで重要なのは、やはり①ウクライナ戦争~エネルギー需給、インフレ、金利、経済成長、難民流入、食糧不足、戦後復興など、非常に多くの切り口でどの国にも大きな影響を及ぼす。膠着状態が長期化する可能性が最も高そうなので、時間軸面での重要度も大。ずっと先の話になりそうながら、戦争が終わった後のウクライナ復興は世界経済にとっても一大イベントになる。

    ウクライナ和平成立は2024/10以降と見る専門家が過半>

      


    <以下、トップ9の残りを列挙>

  • ②リセッション~足腰の強い米国以外がむしろ心配
  • ③再エネ~風力、太陽光、原子力、水素に恩恵(ガス施設を有効活用)
  • 中国経済減速~人口減、不動産、コロナがガン
  • ⑤米国の分断~社会的・文化的分裂拡大。トランプ再選の可能性
  • ⑥台湾などウクライナ以外の地政学リスク~ウクライナで西側が手一杯のうちに国内問題から目をそらす意味でも中国が台湾で行動を起こす可能性
  • ⑦アライアンスシフト~中国と米国のどちらにつくか(特にサウジ)
  • ⑧リベンジツーリズム~インフレ下で観光や出張がどれくらい戻るか
  • メタバース~いよいよテイクオフするか

  • 日本は当面国防強化と所得再配分に邁進すると外(英語圏)から見られている。Five Eyes(米英豪加NZの5カ国による機密情報共有の枠組み)に日本がいよいよ参加するか、法人増税による投資環境悪化も注目されている。
  • ドイツで特筆すべきは、従来金科玉条とされてきた財政規律がなし崩し的にゆるみつつあること。国防と環境のためならやむなしという雰囲気。再エネ推進は他国の模範となるべく邁進中で大きく前進しそう。但し、グローバリゼーションの逆流に対しては他国より大きな痛みを伴う適応が必要。
  • 今や(昔よく言われたドイツではなく)英国こそ欧州の病人。BREXITで投資不足と人手不足が深刻。財政に全く余地がないスナク政権が。どうやって投資を復活さようとするかに注目(至難の業)。

 

現在鋭意読み進めているところなので、新たな学びを見つけ次第、改めてご紹介します。

 

<日本で売られている紙版>

Amazon.co.jp: The Economist: The World Ahead 2023 [UK] (単号) : The Economist Newspaper Limited: Foreign Language Books