EYのドイツ銀行業界分析レポート「銀行バロメータ」(上記リンク、4月に100行を調査、5/27発表)のエッセンスは以下の通り:
- 今後1年でドイツ経済が改善すると予想している銀行は30%のみ。
- 7割が信用リスク増大、約半数が今後6か月以内の融資厳格化を予想。
- 一方、自社事業については、現状を92%、1年後の将来は93%が肯定的に評価。
- ECBの利上げによる金利上昇が銀行経営にとって追い風。
- ビジネスモデル改革、ESG対応(含む新商品提供)、テクノロジー導入にも熱心。
- イノベーション活用とコスト削減圧力を背景に、今後も銀行間の合併吸収や支店閉鎖は急ピッチで進む。
- 38%新規顧客に対して既存顧客より高い預金金利をオファーするなど、金利が復活した現局面で預金確保に奔走。
- BaFin(メインの金融監督機関)は、金利大幅上昇、不良債権増加、不動産市場の調整、サイバー攻撃を銀行のリスクとして特に重視。
- 国際金融市場の混乱のリスクはあまり高くないと見られている。
- 殆どの銀行で、生成AIの活用検討や実装化が進められている。特にバックオフィス業務と顧客接点周りにAI活用の最大のポテンシャルを見ている。
- 1/3の銀行が新規採用(特にリスク管理、コンプラ、IT分野)に積極化しており、人員削減トレンドにブレーキがかかり始めている。
- リスク対応強化と収益性改善により、銀行セクター全体の回復力が向上(金融システムリスクは低下)。
- 各種規制対応(Basel III/IV~自己資本、MiFID/MiCAR~顧客保護、DORA~デジタル対応、CSRD~ESG対応など)がイノベーションや競争力の阻害要因として強く意識されている。
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