日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20211015 ドイツ信号機連立予備交渉結果の声明文解説

本日、信号機連立「予備」交渉(Sondierung)がいったん完了し、以下のリンク先のような声明文(交渉結果と今後の連立交渉の方向性総括)が発表されました。

Ergebnis der Sondierungen.pdf_bn-234442324.pdf (welt.de)

 

今のところ3党の交渉は順調に進んでおり、決裂するリスクはほとんど感じられず、ジャマイカの出番はないだろうという印象です。

また、かなりFDPの要望が通っており、経済がスクイーズされるリスクは低下しているように思われます。

ただ年内(クリスマス前までに)早期妥結できそうかという点については、特段手がかりなく、引き続きそう簡単ではない(年内妥結は五分五分)と見ておくべきでしょう。

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主なポイントは以下の通り:

  • 役所の許認可手続きは最低でも半減させる。
  • 脱炭素はできれば(2038年ではなく)2030年に前倒しする。
  • 来年中に環境即時プログラムを策定する。太陽光発電に適した屋根と風力発電に適した2%の平地は活用する。
  • 年金支給水準引き下げなし、支給開始年齢引き上げなし。市場運用も活用する。
  • 高騰する家賃対策として年40万(うち公的10万)戸の住宅を供給。
  • アウトバーン(高速道路)の速度制限導入は見送り。
  • 最低賃金は12ユーロ以上に引き上げ。
  • 未来の自動車、EVだけでなく水素やグリーンな合成燃料も認める方向。
  • ハルツ4の代わりにベーシックインカムのようなもの(Bürgergeld)を検討。
  • 増税なし。加速償却活用。
  • 債務ブレーキは尊重(非常にあいまいな書き方で、将来の妥結に幅を持たせてある)。
  • 選挙権は18歳から16歳に引き下げ。
  • 外交では「グローバルな責任を果たす」(対中や対露外交の方向性については特段言及なし)。 

 

ちなみにUKブックメーカーのオッズではショルツ首相95%となっています。

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