今年は州議会選挙が4つ予定されていますが、昨年12月にショルツ政権(SPD主導)が誕生してから最初の州議会選挙で、SPDが事前予想を大きく上回るを支持を集めて大勝し、ショルツ首相にとって(中央政府の貢献度合いはさほど大きくないものの)心地よい追い風となりました。
投票締め切り後まだ1時間しかたっていませんので、最終結果はまだ出ていませんが、不透明なのはFDPが5%条項で足切りになるかならないかくらいで、大勢はほぼ決しています。SPDがほぼ単独過半数を確保しそうな感じです。SPDによる州首相の奪回は23年ぶりになります。
SPD:レーリンガー党首(女性、元砲丸投げ選手)の圧倒的個人的人気で大勝
CDU:ハンス州首相が前回勝利したAKKの人気を引き継ぎ切れず
Linke(左派党):党内内輪もめ(大御所ラフォンテーヌ氏の脱退等)もあり惨敗
AfD(極右):旧東独と異なり、支持の広がりは見られず
Green:環境意識の高まりで久々の議席回復も連立には不要
FDP:久々の議席回復の可能性は現時点で五分五分
【前回までの得票率推移】
~CDUが20年超第一党を維持してきたが今回はSPDが大逆転
FDPの得票率が5%ギリギリなので、最終的に5%条項で足切り(議席割当ゼロ)となる可能性が残っていますが、どちらに転んでもSPDは単独過半数(全51議席中26議席以上)を維持できる見込みです。
ただし、SPD/レーリンガー新州首相が政権の安定運営のために敢えて連立パートナーを求める可能性は残っています(特に下記①の場合、これまでパートナーだったCDUを再び選ぶ可能性が高いように思われます)。
議席数 現状 今回予測① 今回予測②(FDPが足切りの場合)
CDU 24 16 17
SPD 17 26 28
左派党 7 0 0
AfD 3 3 3
Green 0 3 3
FDP 0 3 0
現在一党単独で州政権を担っている州は一つもないので、今回ザールラントがそうなれば画期的成果ということになります。
Landesregierung (Deutschland) – Wikipedia
州選挙結果はもともと地方独自の事情や個人的人気に左右される部分が大きく、特に今回のザールラント州議会選挙では中央政府の影響がプラスマイナスともほとんどなかったとされています。
全独ベースでの政党別支持率は、SPDとCDUで拮抗しているのですが、ともに新体制だけに、本地方選結果は、SPDのショルツ首相にとっては心地よい追い風、CDUのメルツ党首にとっては相応の痛手になったといえるのではないかと思います。
Wahlumfragen zur Bundestagswahl – Sonntagsfrage (Wahlumfrage, Umfragen) (wahlrecht.de)
なお、5/15のNRW州議会選挙ではCDUが州首相ポストを防衛できる見込みです。