日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20240305 トランプ再選の場合のドイツの経済損失試算

https://www.iwkoeln.de/presse/pressemitteilungen/juergen-matthes-thomas-obst-samina-sultan-zweite-trump-aera-koennte-die-deutsche-wirtschaft-bis-zu-150-milliarden-euro-kosten.html

経営者団体シンクタンクIWが「もしトランプが再選されたら」という興味深いレポートを発表していますので、そのエッセンスをご紹介します。

  • このまま第2次トランプ政権が誕生すれば、ドイツ経済に4年間で最大1,500億ユーロ(24.5兆円相当@163)の損失をもたらす可能性がある。
  • 同氏が再び大統領に就任した場合、すべての国からの輸入品に最低10%、さらには中国からの輸入品に60%の関税を課すことを検討している。
  • これは、米国に輸出するドイツ企業(特に自動車産業)にとって大打撃となる。 
  • IWは以下2つのシナリオでシミュレーションを実施:
    対中60%/それ以外10%の関税導入⇒ドイツの4年間の経済損失1,200億ユーロ強。失業者195千人増。
    ②米中関係が更に悪化し、対中関税を100%まで引き上げ:同1,500億ユーロ。失業者233千人増。
  • いずれのシナリオでもインフレには(わずかに)下押し圧力。
  • 主な波及経路は、関税ショックによる世界貿易減速輸出と民間投資の減少。 
  • EUとしてはバイデン大統領の在任中に、鉄鋼その他の重要原材料に関する協定の締結通じて米国との通商関係をより安定したものにしておくべき。
  • トランプ大統領の関税引き上げを阻止するための威嚇に使えるような対抗措置もしっかり用意しておくべき。
  • オーストラリア、メルコスール諸国、インドネシア、インドなどとの自由貿易協定こそ、EUにとって米国の保護貿易政策の影響を軽減できる唯一の方法だ。 

●シナリオ別 グローバルGDP(灰)/米国外需(黒)/ドイツ外需(黄)ベースライン比下振れ度合い(上:%)

●シナリオ別 ドイツGDPのベースライン比下振れ度合い(上:%、下:金額~10億ユーロ)~2年目以降に1%強の下押し圧力が続く。

 

ちなみに、現時点での米大統領選シナリオ分布は、トランプ44%、バイデン28%、オバマ夫人9%と、引き続き「ほぼトラ」状態となっています。

https://www.realclearpolitics.com/elections/betting-odds/2024/president/

 

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