ドイツ企業の多くが対中国戦略をデカップリング方向で見直す中、相対的に日本の重要度が増していると言われています。
在日ドイツ商工会議所とKPMGが毎年この時期に実施している掲題調査(今回回答数115社)の中にもその傍証のようなものが見つかりましたのでご紹介しておきます。
【今回調査結果における9つのキーポイント】
- 43%が日本の外で日本での3倍以上の売上を計上
- 96%が日本の安定性と信頼性を高く評価
- 87%が日本市場の売上ポテンシャルに期待
- 82%がコロナにもかかわらず黒字確保
- 75%が今年売上増見込み
- 58%が日本の外(特にASEAN)で日本企業とプロジェクトに参加
- 53%が今後3年の間にサステナビリティ(ESG)関連投資を計画
- 33%がクラスター(感染)抑制手法を日本から学ぶべきと考えている
- 74%がウクライナ危機で何らかの影響を受けている
今年、来年と、売上、利益、投資、雇用とも概ね強気な見通しになっていますが、興味深いことに、日本人幹部より非日系幹部の方がより強気とのことです。
55%がライバル日本企業を見張るため、51%が海外の日本企業と商売するため、に日本に拠点を置いているというのも、個人的に面白いなと思いました。
なお、ドイツ企業は日本で熟練労働者の確保に非常に苦労しているので。。。
回答企業の半数が「日本もドイツの移民政策を見習って(海外から熟練労働者をどんどん取り込んで)欲しい」と思っているようです。
<回答企業のプロファイル>
【ご参考】2021年の同調査結果概要
- 日本は依然として重要かつ収益性の高い市場である:新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年に、在日ドイツ企業の83%が年間平均税引前利益を上げることができた。
- 中期的にもポジティブな見通し:回答したドイツ企業の経営層は、売上高(73%)と利益(55%)の大幅な増加を期待している。
- 86%の企業が日本でビジネスを行う最も重要な理由として「販売拠点としての高いポテンシャル」を挙げている。
- 在日ドイツ企業にとって、世界第3位の経済大国である日本は、戦略的観点からさらに重要な市場である。59%の企業は市場トレンドのリサーチ、53%は日本の競合他社を調査・分析するために、日本に拠点を置いている。
- ドイツ企業は、国際的に活動する日本企業とともに海外でも大きな売上を上げている:53%の企業が海外で日本企業と提携し、日本国内と同等の売上を獲得している。そのうち16%は国内売上の3倍の売上を上げている。
- 回答企業の48%は、アジアやその他地域へのアクセスの良さを理由に、第三国市場で日本企業と提携している。
- 76%のドイツ企業が、最大の課題としてコロナ禍に伴う入国制限、次いで人口減少(74%)を挙げている。また、79%の企業が十分に訓練されたスタッフの確保に苦労している。
- 将来ドイツ企業と日本企業が協力できる分野:「燃料電池・水素技術」(48%)、「デジタル技術」(39%)、「グリーンテクノロジー」(39%)
- 回答企業の5社に1社は、東京2020オリンピックの開催による大きな経済的損失を見込んでいる。3分の1弱の企業は、開催によるプラスの影響を期待していない。
在日ドイツ企業景況調査 「日本におけるドイツビジネス2021」の結果報告 (ahk.de)