日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230302 ドイツ連銀は中国の景気回復に慎重

 

リオープン後にコロナ患者激増で低迷していた中国のPMIが上図の通り最近急回復しており、中国経済の復活⇒世界経済へのサポートという期待が高まっています。

 

しかし、ドイツ連銀2月月報(残念ながらまだ英語版は出ていません)での中国経済分析によると、中国のコロナ感染が沈静化しても、以下2つの理由から中国経済が力強い回復軌道に戻るとは期待しない方が良い、と評価されています。

  1. コロナ後、家計の状況が大きく悪化したままであること。
    長期トレンドから、可処分所得は▲9%、消費支出は▲14%下振れており、かつ回復モメンタムが感じられない(下図)。
  2. 不動産不況を克服するのが非常に難しいと思われること。

 

(上:可処分所得、下:消費支出)

 

また、別途貿易統計を確認すると、ドイツから中国への輸出は近年全く伸びておらず、輸入だけが爆増して対中貿易赤字が急膨張しています。

(実線:中国からドイツへの輸入、点線:ドイツから中国への輸出、単位:10億EUR

 

対中貿易赤字

 

中国経済の回復は、中国で現地生産している一部のドイツ大企業(車、電機、化学)の株価には確かにプラスかも知れませんが、ドイツ経済全体に対するプラスはもはやかなり限定的(資材・エネルギーインフレ再加速ならかえってマイナス)と思います。