欧州の週末のメインイベントは何と言ってもイタリアの前倒し総選挙だった訳ですが、ドイツの主要メディアの反応は以下のような感じ(なかなか面白いですもの)となっています。
- 予告済みのカタストロフィがやはり現実となった。
- メローニ女史率いるFDIが、典型的ばら撒き政策(減税、最低賃金、保育所無償化、子供手当増額など)により、インフレに困り果てている人々からの支持(25%超)を集め、第1党となった。
- イタリア初の女性首相誕生となる可能性が高いが、メローニ(45)が連立を組むことになるFIのベルルスコーニ(85)や、LEGAのサルビーニ(49)をずっとコントロールし続けられるとは思えず(実際過去に何度も連立政権を崩壊させてきた)、短命政権に終わる可能性が非常に高い。
- インフレがイタリア国民の最大の不満だが、安易なポピュリズムで簡単に解決することはできないので、イタリア政局の不安定性、不透明感は一層高まったと言わざるを得ない。
- 今のように既に十分不透明な時代に、追加の不透明感上乗せは大変迷惑な話。
- メローニは、EUよりイタリアを優先すると公言しているので、EUや独仏との衝突不可避。EUとしては、コロナ基金へのアクセス制限でイタリアーを御するしかない(コロナ基金はイタリアにとって不可欠のばら撒き原資)。
- 反EU色の濃いポーランドやハンガリーが妙に勢いづく可能性がある。
- 非の打ちどころのなかったドラギの後だけに、ファシストのメローニでは落差があまりにも大きく見える。
- フランスではルペンによる極右化を何とか回避し続けているが、イタリアは簡単に極右化した。
- プーチンに近いベルルスコーニやサルビーニとは違って、メローニはウクライナ支持なので、その点はせめてもの救い。
- イタリアではなんだかんだ言って最終的には民主主義がちゃんとワークするので、そんなにひどいことにはなるまいと少しだけ期待したい。
<日本語メディアの報道ぶり>
イタリア選挙後にユーロドルは安値を更新し、イタリア長期金利は上昇しています。