日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20240817 週末のBloombergより(ジャクソンホールなど)

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◆しっかり目の米経済統計が続き、9月は▲25bpが75%、年内3回プラスアルファまで利下げ期待が後退。株価は急落前の水準にまでほぼ戻した。
◆直近雇用統計後に一時高まった迅速な大幅利下げの可能性はかなり遠のき、FEDはデータを見極めながら慎重に利下げを進めることができる環境に戻った。
◆来週はいよいよジャクソンホールだが、パウエル議長が大幅利下げを示唆するなどとは期待しない方が良い。
◆高金利で回る短期資金に大量の流動性が滞留しており、投資家はちょっと弱いデータでも利回りをより長い期間ロックインしようと慌てて動くので、長期金利は低下しやすい地合いになっている。
金利は低下した(10年国債3.9%)とはいえ、まだ中立金利よりは高く、実質金利はプラスなので、債券は買い方向でよい。
◆特定の年限にベットするのではなく、ブルスティープニング気味にカーブ上に分散しつつデュレーションを延ばすべき局面か。
◆2/10年はまだ▲18bpインバートしているのでネガティブキャリーには引き続き要注意(クレジットスプレッドなどをうまく活用する)。
◆最近の株急落に伴ってクレジットスプレッドは一時拡大したが、現在はIG: 96bp/HY: 322bpにまで戻っている。投資家需要は引き続き旺盛で起債も活発

 

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雇用や消費がガラガラと崩れていくような感じではないことを確認できたのが今週最大のポイント。
◆一方でインフレは3ヶ月年率換算ベースで着実に低下に向かっており、もはや懸念材料でない。現在の金利水準が中立を大きく上回っていることもあり、FED利上げ開始は十分正当化される。
◆家賃はまだ高水準ながら緩やかな低下トレンドにあり、今後もマイルドな新規家賃がより反映されるプロセスの中で低下に向かうはず。賃金上昇からのインフレ圧力も急速に後退している。
◆移民で労働力人口が拡大する中での失業率上昇のため、リセッション予知においてサームルールはそれほど強いシグナルでない可能性が高い。
ジャクソンホール会合でパウエル議長は9月の利下げ幅(▲25か▲50か)を予告することはないだろうが、インフレ克服に自信を示すことにより、金利正常化のための利下げの地均しをすることができる。
最近の雇用市場軟化に対する評価には要注目。歓迎すべき減速の範囲内なのか、それとも悪化ペースの速さをやや心配しているのか、といったニュアンスの違いは重要。
◆企業業績は引き続き堅調で、好調業種の裾野も(去年よりは)広がっている。短期資金はまだ大量に滞留している。中小企業やヘルスケアセクターへ裾野を広げつつ、「stay invested」することが重要
医療の進歩でわれわれが長生きできる可能性が高まっているので、投資と生計ファイナンスの両面からしっかりとした対応が必要
◆米国の鉄道インフレ整備は非効率でコスト高(1マイルあたりベースでスペインの6倍)。
◆米国全体では研究開発投資にしっかり資金を投じているが、政府が担う部分がどんどん縮小している。公共財的で民間が担いづらい基礎研究が疎かにならないよう注意が必要。
◆2000年にバークレーズが債券ETFを始めてから、その規模は2兆ドルに達しているが、債券市場全体が120兆ドルあることを鑑みれば、まだまだ成長の余地がある。
◆グローバル金融危機以降、債券保有に伴うバランスシート負荷の高まりと共に、多数の債券をまとまったロットで持つ必要をなくしてくれる債券ETF機関投資家中心に普及してきた。
◆多数の債券のパッケージ化により、市場流動性はかえって改善するので、イリキッドなプライベートクレジットをETF化しようという議論もある。
◆アップル、グーグル、アマゾンといったビッグテックにディストリビューションチャネルを押さえられている上(顧客データはそこに蓄積される)、今後はコンテンツ作成部分でAIが活躍するようになってくるため、コンテンツ提供に特化したメディア業界はどんどん厳しくなってきている。
メディア業界のレガシー・プレーヤーたちは、YouTubeなどの手強い競合相手がどんどん増えてくる中で、低コストかつクオリティの高いコンテンツを出し続けなければならない
米大統領選挙に向けて、ハリスもトランプも減税を含むバラマキで票を集めようとしている。良識ある人々は米財政のサステナビリティに対する懸念を募らせている

 

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