6月9日のECB理事会で発表されたECBスタッフプロジェクションにおけるユーロ圏ストレス(ダウンサイド)シナリオは
ロシアのエネルギー輸出が今年第3四半期から全面的に止まり、商品不足/価格上昇とサプライチェーン障害の更なる悪化に見舞われる
というもので、ベースラインシナリオと比べると、以下のように正真正銘のスタグフレーション(実際にマイナス成長になり、失業率が顕著に上がるもの)になっていました。
2022年 2023年 2024年
GDP 2.8⇒1.3(▲1.5)% 2.1⇒▲1.7(▲3.8)% 2.1⇒3.0(+0.9)%
失業率 6.8⇒7.1(+0.3)% 6.8⇒8.3(+1.5)% 6.7⇒8.6(+1.9)%
HICP 6.8⇒8.0(+1.2)% 3.5⇒6.4(+2.9)% 2.1⇒1.9(▲0.2)%
コアHICP 3.3⇒3.3(+0.0)% 2.8⇒3.2(+0.4)% 2.3⇒2.0(▲0.3)%
その翌日、6月10日にドイツ連銀がこれと同じ前提条件でドイツ経済がどれほどの悪影響を受けるのかについて計算した結果を公表してくれていますので、その数字をご紹介します(英文レポートも出ています)。
2022年 2023年 2024年
GDP 1.9⇒0.5(▲1.4)% 2.4⇒▲3.2(▲5.6)% 1.8⇒4.3(+2.5)%
HICP 7.1⇒7.6(+0.5)% 4.5⇒6.1(+1.6)% 2.6⇒2.8(+0.2)%
実質GDP(コロナ前の2019年を100とするインデックス)の軌道で見ると、このような感じです(青太点線がストレスシナリオ)。ユーロ圏全体と比べると、来年の落ち込みも、再来年の反動もかなり大きめになっています。
ストレスシナリオの主な前提条件は以下の通りです。
エネルギーだけでなく食品価格も上昇し、海外需要も激減する世界です。