日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

貿易

20230302 ドイツ連銀は中国の景気回復に慎重

リオープン後にコロナ患者激増で低迷していた中国のPMIが上図の通り最近急回復しており、中国経済の復活⇒世界経済へのサポートという期待が高まっています。 しかし、ドイツ連銀2月月報(残念ながらまだ英語版は出ていません)での中国経済分析によると、中…

20230210 ドイツ対中貿易赤字(対中依存度)激増

(紺:輸入全体に占める中国の割合、灰:同輸出、黄:対中貿易赤字年額~10億EUR) ドイツ経済研究所 (IW、経営者団体傘下、@ケルン) の推計(公式統計は未発表)によると、ドイツの対中貿易赤字は昨年841億ユーロ(GDPの2%強)に急拡大し、これは中国への…

20230126 ドイツifo輸出期待指数改善

本日ifoから発表された「ifo輸出期待指数」がプラス圏にしっかりと回復してきています。最近ずっと悲観的だった化学業界で見通しが好転しているとのことです。恐らく、 ①海外経済の減速が恐れていたほどひどいものではなく(中国ゼロコロナ撤廃の影響も大き…

20230124 ドイツ製造業の対中依存度(データ)

https://www.iwkoeln.de/fileadmin/user_upload/Studien/Report/PDF/2023/IW-Report_2023-Abh%C3%A4ngikeit-von-China.pdf ドイツ産業界のシンクタンクIW(@ケルン)から、ドイツ製造業の個別セクターの対中依存度を分析した興味深いデータが発表されていま…

20230120 ドイツの対中戦略見直し、落としどころ見えず前途多難

こちら↓のリンクから無料入手できるドイツ取引所新聞年末特集号の中の、ドイツ対中戦略見直し関連の記事(P45)のエッセンスを(いつものように私なりの言葉にかみ砕いて)ご紹介します。 https://daten.boersen-zeitung.de/download_jsa.php?variant=bz 万…

20230111 世銀世界経済見通し(GEP)いいとこどり

昨日リリースされた世銀の世界経済見通し(GEP)Global Economic Prospects (worldbank.org) のメインメッセージは、既にいろいろと(日本語でも)報じられている通り、以下くらいでよいのだと思いますが。。。 2023年の世界の成長率は+1.7%(昨年6月時点…

20230102 クロアチア、ユーロ導入の落とし穴

W杯決勝リーグで日本を倒して勝ち上がり、結局3位に輝いたサッカー大国:クロアチアが、昨日から① 法定通貨をユーロとする「ユーロ圏」(20カ国目)と② 欧州域内での移動自由が認められる「シェンゲン協定」に加盟しています。 貿易と観光の両面から同国経済…

20221226 ドイツの輸出入とも約半分がEUR建

2022年1〜9月のEU外第3国(EUでない英国もここに含まれる)とドイツとの輸出入の決済通貨シェアが以下の通りと発表されました。 中国との貿易が大きい(特に輸入が突出)こともあり、人民元(輸出で5%、輸入で2.3%)が結構使われているのが特徴的です。 ht…

20221210 海外で日本の景気実感を失わないために

<Japanese> 日系企業の海外駐在員は大変多忙です。毎日現地情報を集めて分析するのに必死ですので、日本のニュースはどうしても後回しになります。日本に住んでいないので、店員やタクシー運転手などから景気に関する生情報を仕入れる機会もありません。そんな状態で1</japanese>…

20221207 ドイツ10月鉱工業生産、Q3比+0.2%で小じっかり

ドイツ連銀の最新経済予測がそろそろ出るので、それを待っているところではあるのですが、現時点では11月9日に発表されたドイツ5賢人委員会の予測が最も権威ある予測です。 それによると、ドイツの四半期GDPは、今年Q4、来年Q1と小幅マイナス(数字はないの…

20221122 ドイツ企業の対中依存度はどんどん高まっています

自他ともに認めるグローバリゼーションの申し子であるドイツの対中貿易は輸出(黒)、輸入(赤)とも近年高い伸びを続けています。 その結果、2021年時点で中国との輸出は1,036億ユーロ(輸出内のシェア7.6%、米国に次ぐ2位)、輸入は1,430億ユーロ(輸出内…

20221117 ドイツ9月製造業受注残高前月比▲0.9%減少

先ほどドイツ連邦統計局より、掲題の通りの発表がありました。主因は海外を中心とする最近の受注急減です(9月受注:前月比▲4.0%、海外▲7.0%)。 (赤:受注残計、黒:国内分、青:海外分) Auftragsbestand im Verarbeitenden Gewerbe im September 2022:…

20221113 輸入依存度がドイツにとって大きい品目輸出元 国別ランキング(①中国、②米国、③スイス、、⑧日本)

先日来何度かご紹介しているドイツ5賢人委員会の分析です。 リチウム、チタン、プラチナ、ガリウム、レアアースなど重要な原材料のうち、海外からの輸入依存度が特に大きい278品目(但し天然ガスは除く)の輸出元についての国別ランキングです。 第①位は当然…

20221101 ドイツ川上物価にピークアウトの兆し

先ほど発表されたドイツ9月輸入物価は市場予想に反してわずかながら反落し、その後のエネルギー価格低下(後述)も併せて考えると、インフレピークアウトに少し期待を持たせる内容でした。 但し、前年同月比+30%前後での推移が続いているので、+17%前後が精…

20221028 ドイツ輸出入、EU内ではトラック、外では船がメイン

今朝ドイツ連邦統計局から、年初来(1〜8月)の財貿易の輸送シェアについて、以下のような発表がありましたので、ご参考までにご紹介します。 2022 年 1 月から 8 月までの間、ドイツは3 億 9,500 万トンの商品を輸入、2 億 5,070 万トンの商品を輸出。 輸入…

20220907 ドイツの電力、ガスと原子力から石炭と風力にシフト

先ほどドイツ連邦統計局から、2022年前半(1~6月)の電源構成の数字が発表されましたのでご紹介します。 <従来型エネルギー> 石炭:27.1%⇒31.4%(ガスや原子力の減少分を補う主力) ガス:14.4%⇒11.7%(ロシア依存引き下げのため圧縮) 原子力:12.4…

20220906 結局のところはEU/ドイツがロシアの戦費をまかなっている構図

フィンランドの独立系研究所CREAが、ロシアの化石燃料(原油、ガス、石炭)輸出について、興味深いレポートを発信していますので、そのエッセンスをご紹介します。 https://energyandcleanair.org/publication/financing-putins-war-fossil-fuel-exports-fro…

20220903 円安をピンチからチャンスに

<Japanese> 日米金利差の拡大再開を機に、ドル円レートが24年ぶりとなる140円台にまで上昇してきました。チャートテクニカル的には1998年8月につけた147円63銭を一度は試しに行く可能性が高そうに見えます。「円安は日本経済にマイナスであり、政府日銀の無策は許せな</japanese>…

20220902 ドイツ輸出の軟化は当面続きそうです

先ほどドイツ連邦統計局より7月の貿易統計が発表され、前月比で輸出▲2.1%、輸入▲1.5%、とドイツ経済のモメンタム鈍化を示唆する内容となっていました。 貿易収支の黒字は何とか維持されていますが、輸入エネルギー価格の高騰により、水準は過去の実勢比大…

20220821 ドイツより日本の方が対中依存がはるかに深刻です

少なくとも結果的に対露戦略を間違えていたドイツ政府は、現在全力で対中戦略の見直しを進めています。ペロシ米下院議長の電撃訪台直後に展開された、中国の台湾侵攻/封鎖を想定したすさまじい大規模軍事演習は、中国という国がいかに危険であるかをドイツが…

20220819 ドイツの対中依存度上昇継続/政策による抑制が急務

本日(8/19)、ケルン研(IW)から掲題に対して以下の通り非常に強い警鐘が発せられていましたので、ご紹介します。 https://www.iwkoeln.de/studien/juergen-matthes-china-abhaengigkeiten-der-deutschen-wirtschaft-mit-volldampf-in-die-falsche-richtun…