日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

選挙

20211015 ドイツ信号機連立予備交渉結果の声明文解説

本日、信号機連立「予備」交渉(Sondierung)がいったん完了し、以下のリンク先のような声明文(交渉結果と今後の連立交渉の方向性総括)が発表されました。 Ergebnis der Sondierungen.pdf_bn-234442324.pdf (welt.de) 今のところ3党の交渉は順調に進んでお…

20211014 ドイツ連立交渉、明日節目を迎えます

ドイツ連立交渉は、通常は以下の②⇒③という2段階で進むのですが、今年は①を加えた3段階で進んでいます。現時点では、明日にも②がいったん終わりそうという感触です。 ① Vorsondierung: 実質的キングメーカーであるGreenとFDPが今回始めたユニークなもの。信…

20211012 ドイツ総選挙後の世論調査について

9月26日のドイツ総選挙後に世論調査結果が4つ出ていますが、その平均を取ると以下のようになりました: SPD 27.1% VS 25.7%(選挙での得票率) CDU/CSU 19.9% VS 24.1% Green 16.3% VS 14.8% FDP 13.6% VS 11.5% CDU/CSUが大きく支持率を落とす一方、信…

20211011 今週末頃にはドイツ信号機連立の政策イメージが湧いてくるかもしれません

本日はほぼ1日中(約10時間)、信号機連立(SPD+Green+FDP)の予備交渉が実施されました。交渉の具体的内容については漏れ聞こえてきません(当事者がお互いを信頼して秘密を守っている証拠)が、日を追うごとにより突っ込んだ議論がなされており、税制・財…

20211009 円株を押し下げている金融所得課税強化

(週末のこの和独英コメントは、海外の友人たちに日本の話をする際の小ネタ提供を目指して書いています) この度第100代目の内閣総理大臣に就任した岸田首相は「成長と分配の好循環」の実現を公約に掲げ、衆議院選挙投票日を予想より1-2週間早い10月31日に設…

20211008 信号機連立予備交渉の争点

今回のドイツ総選挙で第一党となった中道左派SPD(党のカラ-:赤)に加えて、環境重視のGreen(緑)と経済重視のFDP(黄)の3党による、信号機連立政権樹立に向けた、本格的予備交渉が始まりました。 目指す方向性がかなり異なる3党による連立を目指すわけ…

20211006 NRW州首相としてのラシェットの後任が決まりました

CDU党首兼首相候補としてドイツ総選挙で惨敗を喫したラシェット氏は、ノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州の州首相でもあるのですが、この度この州首相としての後任に、へンドリック・ヴュスト氏が決まりました。 彼は現在NRW州の交通相なのですが、6…

20211005 本日でドイツ主要4党の連立予備交渉が一通り完了しました

本日CDU/CSUとGreenの最初の連立予備交渉が実施されました。これで、ドイツの主要プレーヤー(SPD、CDU/CSU、Green、FDPの4党)が一通りバイラテラルの連立交渉をこなしたことになります。 ドイツの連立交渉では、お互いをリスペクトしている限り、交渉途中…

20211003 ドイツ政治家人気ランキングトップ10

ドイツ公共第2TV(ZDF)の政治家人気ランキングトップ10(選挙前後を跨いだもの)を見ると、選挙で大勝利したSPDの次期首相候補ショルツ氏が大きく評価を上げ、長年のトップであるメルケル現首相に肉薄してきているのに対し、議席激減で第2党に転落したCDU/C…

20211002 アンペルマン 2.0

ドイツのアンペルマンといえば、旧東ドイツの歩行者用信号機に使われていた愛らしい小柄のおじさんキャラクターなのですが、今週号のデア・シュピーゲル誌は、小柄な(そして笑顔が実は愛らしい)ショルツ首相候補を表紙に掲げ、今を時めく「ザ・アンペルマ…

20211001 週末のドイツ連立交渉予定

現時点で現実的選択肢として残っている、①信号機連立(確率9割)と②ジャマイカ連立(1割)のそれぞれの政策の方向性については、現時点ではどの分野でどのような妥協が実現しそうかという具体的感触は全くありません。 したがって以下のイベントを先入観なく…

20210930 ラシェットの現状を的確に描写した風刺画

本日のハンデルスブラット紙(日本の日経新聞に相当する高級紙)の14面に、ラシェットの悲惨な現状を実にうまく描いた風刺画が掲載されていました。 私なりに勝手に解説をさせて頂くとすれば、以下の通りになります: ラシェットは今、党内外からこれくらい…

20210929 ドイツ政治情勢アップデート

●メルケル退場と共に、中道右派(CDU/CSU)と中道左派(SPD)による2大政党時代が終了し、GreenとFDPを加えた民主的4政党間の連立を前提とする新たな時代が始まりました。このような状況下では、わずか25%くらいの得票率でも首相輩出が可能となります。今ま…

20210928 ドイツ/欧州で強大な権限を持つドイツ財務相ポストの争い ハーベックVS リントナー

ドイツ総選挙での投開票が終了し、いよいよ連立交渉という正念場を迎える局面になっています。今後の展開のカギを握る主要4党のキーマン達について、以下のように整理してみました。 上記5人はいずれも常にドイツ政治家人気トップ10と目される大物ばかりです…

20210927 ドイツ総選挙、面白いのはこれからです

昨日のドイツ総選挙では以下のような議席配分が決まりました(暫定結果)。 ①SPD:28.0%、②CDU/CSU:26.7%、③Green:16.1%、④FDP:12.5% 今回の選挙では、「現在の大連立(CDU/CSU+SPD)にはもうこりごりで、この際思い切った新規蒔き直しをお願いしたい…

20210926 ドイツ総選挙速報(ドイツ時間22時/日本時間27日5時時点)

郵便投票を含めた開票結果や個別小選挙区の感触がつかめてきて、議席配分予測が大分収斂してきました。現時点でポイントをまとめると以下の通りです: ショルツ財務相率いるSPDが僅差ながらCDU/CSUを抑えて第1党の座を獲得 CDU/CSUは第2党転落も、政権樹立に…

20210925 世界と日本のサステナビリティについて考える

世界のサステナビリティという観点から今後私たちがより強く意識すべきものとして、資源枯渇(水、石油、金属)、生物多様性、紛争解決/人権尊重等も挙げられますが、何といっても重要なのが、気候変動ではないかと思われます。9月26日投開票のドイツ連邦議…

20210924 ドイツ総選挙 シナリオ不変(ショルツ8/ラシェット2)で突っ込みます

本日夕刻時点で世論調査を確認しましたが、政党別支持率のバランス(SPD25/CDU22/Green16)に特段大きな変化は見られませんでした。 一般論として、CDU/CSUは最後の瞬間まで「赤赤緑では国が亡びる」という危機感をあおりながら組織票を固めに行っているので…

20210924 中道か左のどちらかに方向性を決めるドイツ総選挙(9/26)

昨夜、主要7政党党首/筆頭候補によるTV討論会(20:15~、90分、@ARD/ZDF)が開催されました。 今回の選挙は「(中道か左のどちらかに)方向性を決める選挙」と言われていることもあり、下図のように、中央の司会者の左手/写真右側に 赤赤緑の3党: Green(ベ…

20210923 ドイツ総選挙(9月26日)と同日投開票の2州議会選でもSPDの勝利濃厚

今週日曜日9月26日は、ドイツの連邦議会(下院)選挙だけでなく、ベルリン州とメクレンブルク=フォアポンメルン州でも州議会選挙が実施されます。 選挙を3日後に控えた現時点での世論調査を見る限り、SPDが破竹の3連勝を飾る可能性が高まっていると言えます…

20210922 いよいよ今週日曜は運命のドイツ総選挙

9月26日(日曜日)はドイツ総選挙の投開票日です。メルケルなき後のドイツ政治がどう変わるのか、世界が固唾をのんで見守っています。 投票はドイツ時間の8時から18時まで。ドイツの人々の政治への関心は高く、投票率は8割くらいになります。家族内での議論…

20210921 ドイツ総選挙情勢に変化の兆しなし

下図は現時点での世論調査一覧表です(平均値をとっています)。 オンライン調査のCIVEY(左端)で差が誤差(±2.5%)の範囲内に縮まってきたので、CDU/CSUが第1党となる可能性も少しでてきましたが、基本的にバランスは不変で、ショルツ8対ラシェット2(ジ…

20210919 3回目のTV討論でもショルツが高評価

ドイツ次期首相候補3人(ショルツ、ラシェット、ベアボック)による3回目のTV討論会(20:15~21:45 @ProSieben、Sat.1、Kabeleins)が先ほど終了しました。 TV-Triell: Dritter Schlagabtausch vor Bundestagswahl (msn.com) 突出した候補がいないことも…

20210918 自民総裁選に想う

自民党総裁選が9/17(金)に告示され、菅首相の後継者として以下4人が名乗りを上げました。あくまで私見ですが、現時点ではこの順番で優勢なのではないかと思われます。 岸田文雄(64、元外相) 中道左派(党内基盤強固) 早稲田大 河野太郎(58、元外相・元…

20210917 ドイツ総選挙情勢分析アップデート

週末日曜夜の第3回TV討論会前の状況(主要世論調査における政党別支持率平均)を確認しましたが、引き続きSPD(ショルツ)がしっかりリードをキープしています。 Bundestagswahl 2021 – Termin, Umfragen, Kandidaten und Koalitionen (bundestagswahl-2021.…

20210916 ドイチェ・ヴェレのドイツ総選挙特設サイト

ユーロ導入や欧州債務危機の時の英語や日本語の報道を見ていて痛感したのですが、英語(ましてや日本語)のメディア経由でドイツのことを理解しようとするのは不可能と思っておいた方が無難です。FT、WSJの記事を必死にフォローしても日本の実情が全く理解で…

20210915 海外各国から見たドイツ新政権への期待と警戒感

第二回TV討論会終了後の世論調査結果が3つ(赤色網掛け)出ていますが、いずれも先週までのバランスが維持されており、SPD/ショルツのリードが続いています。 Wahlumfragen zur Bundestagswahl 2021 – Sonntagsfrage (Wahlumfrage, Umfragen) (wahlrecht.de)…

20210914 ショルツ政権は引き続きドイツの銀行には冷たそうです

ドイツの金融セクターは、日本の金融セクター同様、 ①過当競争、②マイナス金利、③金融規制対応負担、④デジタル化対応 という逆風と戦い続けています。 <フランクフルト金融街の夜景> その結果ドイツ金融業界全体がじわじわと弱っているのですが、メルケル…

20210912 先ほど2回目のTV討論終わりましたが、ショルツ/SPDのリードが続きそうです

本日2回目の3候補TV討論会(95分)があり、結論から申し上げると、ラシェットがショルツを逆転するのは難しそうな感じでした。 Annalena Baerbock, Armin Laschet und Olaf Scholz: So lief das TV-Triell auf ARD und ZDF (msn.com) 逆転を狙うため果敢に攻…

20210909 ショルツ8対ラシェット2とします

AllensbachとCiveyの直近デ-タを入れて見ると、以下の通り 全ての調査でSPDが明確にリ-ドしている SPD+CDU/CSUの2党で過半数確保可能なので、交渉が面倒で代償も大きい3党連立より選好される可能性がある ことから、シナリオを以下の通り(予告どおり)変更…