日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

中国

20230226 中国和平案に対するドイツ/欧州メディアの論調

ウクライナ戦争終結のための中国による12 項目提案について、私が当地で目にする主な論調を以下整理しておきます。 ドイツ政府は対中関係に配慮して「いかなる努力も歓迎」程度の穏当かつあいまいな反応にとどめていますが、メディアは容赦なく批判していま…

20230223 ドイツコロナ状況為念指さし確認

「7日間指数」(人口10万人当たり直近7日間の新規感染者数)でみると、ドイツは日本とほぼ同水準(上:ドイツ109人、下:日本92人)となっています。 呼吸器系疾患(ARE)全体としては昨年ピークを迎えた後、安定的に推移(赤線が今冬分の7日間指数、このう…

20230214 EU委員会経済見通しクイックチェック

economy-finance.ec.europa.eu 先ほどEU委員会のユーロ圏経済見通しがアップデートされ、 ●GDPは今年+0.9%(昨秋予測+0.3%から上方修正、多少ぶれてもマイナスにはならないレベル)、来年+1.5% ●インフレ(HICP)は今年来年+5.6%(昨秋予測+6.1%から下…

20230211 ショルツ政権「Zeitenwende(ターニングポイント)」進捗状況

今週のWirtschaftswoche の特集記事(掲題)の内容をごく簡単にまとめておきます。非常に厳しい評価となっています。 ①戦争 ショルツ首相はプーチンのウクライナ侵攻前に外交でいろいろ奔走したものの、戦争開始は結局止められなかった。 ウクライナ戦争勃発…

20230211 グローバル/日本経済4つのリスク

動画ではより詳しく説明しています。よろしければ。 youtu.be <Japanese> 日本の対外純資産は2021年末時点で3.6兆ドルと、2位ドイツの2.9兆ドルを大きく引き離して31年連続世界一となっています。2月3日に内閣府から発表された「日本経済2022-2023」によると、日本の対</japanese>…

20230210 ドイツ対中貿易赤字(対中依存度)激増

(紺:輸入全体に占める中国の割合、灰:同輸出、黄:対中貿易赤字年額~10億EUR) ドイツ経済研究所 (IW、経営者団体傘下、@ケルン) の推計(公式統計は未発表)によると、ドイツの対中貿易赤字は昨年841億ユーロ(GDPの2%強)に急拡大し、これは中国への…

20230206 中国偵察気球問題についてのドイツメディアの報道ぶり

ここ数日私が見聞きしているドイツ主要メディアでの報道ぶり(論点)をざっとご紹介します。今朝のハンデルスブラット(上図)が1面中央に写真入りで掲載している通り、(その後トルコの大地震などもありますが、ほぼ)トップニュースとして扱われています。…

20230203 ドイツ経済の輸出・中国依存型ビジネスモデル、修正の方向性

掲題テーマに関するバイエルン州立銀行/調査会社Prognosの分析・提言のエッセンスを以下ご紹介します(メアド提供と引き換えにpdf入手可能)。 https://www.prognos.com/de/geschaeftsmodell-deutschland2023?mtm_campaign=GeschaeftsmodellDeutschland2023&…

20230202 ドイツEV市場について

30年来の友人であり、心から尊敬するドイツ人エコノミストであり、私が現在住んでいるアパートの大家さんでもある、Dr. Wermuth のコメントをご紹介します。 ちなみに奥様は統計学のProfessorで、家事の多くは彼が引き受けているそうです。 wermutham.com ●…

20230129 ビッグマック指数WEBサイトでユーロの有難み(対円)確認

www.economist.com 毎年1月と7月の下旬に、英エコノミスト誌がビッグマック指数を公表しています。WEBサイトに非常に便利なインタラクティブツールが提供されているので、大変便利です。出ているのに気づいたら、ちょっとだけでも自分いじってみることをお勧…

20230128 日本とドイツにおける対中戦略見直し

<Japanese> ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、ドイツでも日本でも、企業の対中戦略が急ピッチで見直されています。今のように厳しい低成長環境下で、中国市場を自ら捨てる余裕など普通ありませんが、万一中国が台湾に侵攻すれば、ロシア同様の制裁発動により、販売</japanese>…

20230124 ドイツ製造業の対中依存度(データ)

https://www.iwkoeln.de/fileadmin/user_upload/Studien/Report/PDF/2023/IW-Report_2023-Abh%C3%A4ngikeit-von-China.pdf ドイツ産業界のシンクタンクIW(@ケルン)から、ドイツ製造業の個別セクターの対中依存度を分析した興味深いデータが発表されていま…

20230120 ドイツの対中戦略見直し、落としどころ見えず前途多難

こちら↓のリンクから無料入手できるドイツ取引所新聞年末特集号の中の、ドイツ対中戦略見直し関連の記事(P45)のエッセンスを(いつものように私なりの言葉にかみ砕いて)ご紹介します。 https://daten.boersen-zeitung.de/download_jsa.php?variant=bz 万…

20230116 ドイツ自動車業協会(VDA)年頭会見のポイント

プレスリリースのタイトルは「産業立地と競争力を改善するための政策こそが、気候変動対策政策を支える」という、いかにもドイツ自動車産業界らしい主張(気候変動対策の負担を何でもかんでもトップダウンで自動車業界に押し付けるな)となっています。 VDA-…

20230104 ユーラシアグループ:2023年トップリスク10

毎年恒例のユーラシアグループ「今年のトップリスク」がつい先ほど発表されたので速報します。 https://www.eurasiagroup.net/issues/top-risks-2023 1. ロシア 追い詰められたならず者ロシアが、ウクライナだけでなく、世界の安全保障、西側の政治システム…

20221226 英Economist誌が振り返る今年の重要トピック

独Spiegel誌と同様に、英Economist誌も表紙を見るだけで重要トピックや世相をフォローすることができて便利なのですが、(さすがに基本的にいがみ合っている両国だけあって)独英間でだいぶテイストは異なります。 All weekly editions | The Economist 上右…

20221226 シュピーゲル誌の表紙で振り返るドイツの1年

独シュピーゲル誌は、政治ネタを中心に特ダネが多く、国内での影響力が抜群に大きい(大物政治家から恨まれたりすることも多い)ため、ドイツと関わりの深い方々やドイツ語学習者にとってチェックが欠かせない雑誌となっています。 中身を見なくても、毎週号…

20221226 ドイツの輸出入とも約半分がEUR建

2022年1〜9月のEU外第3国(EUでない英国もここに含まれる)とドイツとの輸出入の決済通貨シェアが以下の通りと発表されました。 中国との貿易が大きい(特に輸入が突出)こともあり、人民元(輸出で5%、輸入で2.3%)が結構使われているのが特徴的です。 ht…

20221217 時代の転換点

<Japanese> 今年もあと2週間を残すのみとなりましたが、今年の漢字が「戦」に決まったことに象徴される通り、今年は多くのネガティブ事象に世界が振り回された1年だったと言わざるを得ません。罪のない人々の命を奪う戦争はまだまだ終わる気配がありませんし、インフレ</japanese>…

20221206 BIS四半期報告いいとこどり

マクロプルーデンスが気になる局面では、四半期ごとに出るこちらのBIS四半期報告書が頼りになります(金融安定報告の類は年一度くらいしか出てくれませんので)。 FXを中心としたトレードの基礎データも満載されており、手元資料として大変便利です(こちら↓…

20221122 ドイツ企業の対中依存度はどんどん高まっています

自他ともに認めるグローバリゼーションの申し子であるドイツの対中貿易は輸出(黒)、輸入(赤)とも近年高い伸びを続けています。 その結果、2021年時点で中国との輸出は1,036億ユーロ(輸出内のシェア7.6%、米国に次ぐ2位)、輸入は1,430億ユーロ(輸出内…

20221119 景気は気から

<Japanese> 10年前(2012年)に英Economist誌が出版した「2050年の世界」という本に、当時自分がマーカーを引いた部分を読み返しているのですが、将来に関する予言が悲観的に偏り過ぎて当たらない理由として、 ①悪いニュースだけが印象に残るという人間の認知バイアス </japanese>…

20221113 輸入依存度がドイツにとって大きい品目輸出元 国別ランキング(①中国、②米国、③スイス、、⑧日本)

先日来何度かご紹介しているドイツ5賢人委員会の分析です。 リチウム、チタン、プラチナ、ガリウム、レアアースなど重要な原材料のうち、海外からの輸入依存度が特に大きい278品目(但し天然ガスは除く)の輸出元についての国別ランキングです。 第①位は当然…

20221109 ドイツ5賢人委員会の経済分析エッセンス

本日ドイツ五賢人委員会から、年次報告書が発表になりました。現時点で一番信用できるドイツ経済分析/予想であることは間違いありません(ドイツ連銀の分析は12月中旬頃まで待つ必要があります)。 ドイツ政府経済諮問委員会(5賢人委員会)とは? | 経済用…

20221108 ドイツ経済の展望と日系企業へのインプリケーション

(お恥ずかしい限りですが、本稿内容をYouTubeにもしてみました。よろしければこちらをご覧ください https://youtu.be/qVe59W76ujU) 今回は日系企業に対するインプリケーションという観点からドイツ経済を分析してみようと思います。 ドイツ経済について日…

20221103 ショルツ首相訪中について

ドイツのショルツ首相が明日(11/4)中国を訪問し、新指導部発足後、G7首脳として初めて習近平国家主席と会談することになっています。 フォルクスワーゲン、BMW、ジーメンス、BASF、バイエル、メルク、ビオンテック、アディダス、ドイツ銀行、など、計12社…

20221030 前稿の続き

今後は強い問題意識を持った上でリスク管理が必要ということで、前回投稿 dateno.hatenablog.com では「暗い面」(とそれに対する自衛)にのみ焦点を当てましたが、「どんな時でも過度に悲観的になるべきではない」というのが私の信条ですので、私が今考えて…

20221029 来年以降の世界の潮流と自衛策

<Japanese> 毎年この時期になると、来年以降の世界の潮流について思いを巡らせてみることにしているのですが、今年のロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、大きな流れは以下のようにかなり厳しいものになってしまっており、今まで以上にリスク対策が重要になってき</japanese>…

20220929 ドイツ5大研秋季合同経済予測 お手元にぜひ

先ほどドイツ5大経済研究所(ベルリン、ifo、キール、エッセン、ハレ)によるドイツ経済予測が発表されました。そのエッセンスは以下の通りです。 ドイツ経済はガス料金の高騰で激変。インフレにより経済全体の購買力が大幅に押し下げられてしまう。 実質GDP…

20220928 IMD世界【デジタル】競争力ランキングでは、ドイツ19位(日本は29位)

スイスのビジネススクールである国際経営開発研究所(IMD〜International Institute for Management Development)が毎年発表している世界デジタル競争力ランキング(対象63カ国・地域)によると、ドイツは昨年から一つ順位を下げて19位、トップ5は、①デンマ…